[携帯モード] [URL送信]

FinalFantasyW
2.再会

ミストの村の近くにある森で青年は一人飛竜と共に道なき道を歩いていた。


青年は伸びをしながら相方の飛竜に話しかける。


『ん〜。今日もいい天気ですね。そう思いませんか?グラン』


「ぐるるっ。キュゥー」
(それにしては、何か変な感じしないか?)


呑気な様子の青年とは裏腹に、グランと呼ばれた飛竜の方は何やら不穏な空気を感じ取っていたようだ。


グランの見据える方向には、ミストの村がある。


『……何か、起こるとでも言うのでしょうか……』


青年も飛竜と同じように不穏な空気を感じ取ったのか、顔を引き締めミストの村へと向おうとした。


その時だった。


―ゴオオオゥ


『!!!』


それは一瞬の出来事だった。


行きなり現れた炎の柱は瞬く間にミストの村を包み込んだ。


『いったい何がっ!』


慌てて向かおうとした青年と飛竜は突如現れた大地の裂け目に呑み込まれそうになる。


『くっ!グランッ!』


青年は飛竜に掴まると空へと舞い上がった。


そして、目の前に広がる光景に唖然とするしかなかった…………………


『大地が…………………割れてる』


青年は知っていた。


これだけの地割れを起こすことのできる存在を………。


『これは、まさか“タイタン”っ!?』


ハッとした青年はミストの村に目を向ける。


ミストの村は未だに炎に包まれている………


『っ!グラン。ミストの村に………』


「ギャウ」
(了解)


そうして、一人と一匹はミストの村へと向かった。







『酷いですね。これは』


青年は顔をしかめると、瓦礫と人の焼死体で埋め尽くされた村のなかに入っていく。


相方の飛竜には村の手前で待ってもらうことにした。


惨状は、青年が思っていたものより遥かに酷いものだった。


おそらく、生きているものは一人もいないだろう…………………


燃え続ける炎の熱風にさらされながら。青年はそれでも生存者が居ないかと歩き回った。


すると、裂け目の近くに見覚えのある姿があった。


『リディアのお母さん!』


青年は近くまで駆け寄ると彼女は苦しそうに呻きながら目を開いた。


「あ、あぁ。貴方は………」


『話さないで下さい。今…………………』


そう言って急いで回復魔法をかけようとする青年をリディアの母は止めた。


「もう、良いのです。私は………助からない」


『ですがっ!!』


「それよりも………リディアは、リディアは無事なのですか?」


『ここには居ないのでなんとも…………………ですが、誰かがタイタンを召喚していました、少なくとも今ある危険からは守ってくれたはずです』


「そう、ですか…………………。良かった」


『ですから、貴女も助けます。死なせません!』


「…………………ありがとう。でも、本当にごめんなさい」


『何故謝るんですか!』


回復魔法をかけながら青年は怒るように言った。


「私の、召喚獣が倒されてしまったの………」


『っ!!そんな……』


その言葉に驚き、青年は回復魔法をかけていた手を止めてしまっていた。


否、回復魔法をかけたところで無駄だった。


召喚獣が倒される…………………


それは、召喚師の「死」を意味する。


そして、召喚獣が倒された場合。
どんなことをしてもその死からは逃れられないのだ。


『…………………』


「ごめんなさい。貴方に伝えてもらいたいことがあるの…………………」


ショックでうつむく青年に、リディアの母は彼の手をとると伝言を託した。


「この村を襲った人たちを。恨んで生きてはダメ…………………。許して、あげて……」


リディアは母は最後まで言い切るとパタリと手をおろした。


もう、息はしていなかった。




……何故タイタンがあの地割れを起こしたのか、今ならわかる。


この人の娘「リディア」が召喚したものだったのだ。


そうだとすると。あの威力なのも頷ける。


召喚獣は術者の潜在能力に左右される為、召喚師は天性の才能を持つものだけがなれる…


リディアはそのなかでも将来を有望視された存在で召喚師としての才能は十二分にあった。


『必ず、伝言を伝えます。…どうか、安らかに…………………』


一通り、村人の埋葬を終えると青年は断崖となった場所を通り断崖の向かい側に出た。


『う〜ん。あの場所から飛ばされたとしたらここら辺にいると思うのですが…………………』


 人の気配はない…………………もう居ないのでしょうか?


『もしかしたらまだ居るかもしれませんね。グラン、行きましょう…………………グラン?』


青年は隣にいるはずの飛竜に呼び掛けたはずだったが、返事がない。


隣を見ると。さっきまで居たはずの飛竜は居なかった…………………


『…………………あのおバカさん…また勝手に』


キュオオオー
(居たぞー!)


『えっ!?本当ですか?』


飛竜はどうやらリディアを探しにいっていたらしい。


この声の響きからさほど遠くはないことも分かった。


ピュイィーー


青年は指笛をならして飛竜に待つよう合図を送ると、すぐにその場に向かった。









―最初に聞こえたのは、飛竜の鳴き声だった…………………。


「っ!…………………うぅ」


セシルは何かをぶつけられているような衝撃で目を覚ました。


「?…………………ここは」


セシルが目覚めた場所は森が開け草むらが広がる場所。


ミストの村からかなり飛ばされたようだ…


「!!そうだっ。カインは!」


セシルは慌てて周りを見るが 、その竜騎士の姿は見つからない…………………


「そんな…」


グルルル…………………


「!!うわぁっ!」


セシルが唸り声に気付いて顔をあげると、そこには飛竜の顔…………………


いきなりの事で驚いたセシルは後ろに後ずさる。


「…………………!君はアルティスの!」


最初は驚いたものの、見覚えのある色にセシルは安堵の表情を浮かべた。


―この飛竜が居るということは…………………


『グラン〜。どこにいるんですか?』


「!!!」


飛竜の呼び声につられるように「彼」は姿を現した…。


『あぁ。良かった…?…………セシル?何故君がここに…?』


現れた青年「アルティス」はセシルの姿を見つけて驚いた。





そして、ここから物語は始まっていく…………………




多くの仲間と、衝撃の真実を知る旅へと…







______
あとがき


……………………………………。


コメントの前に謝らせてもらいます。


すみません。


実は蒼き獣と月光の物語は幼少期からTA編までひとくくりにするはずが、

幼少期から進まない。
なのに本編とTAの構想だけはやたらと出てくる…………………

という事態になり。あえなく三部構想になりましたとさ。


というわけで、この三部の中から気まぐれで連載していくことになるでしょう。


頑張ってみますので、応援よろしくです。






[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!