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ソラゴトモノクロ
68 愛してる


「そんなの別にいいじゃん」

「フラれたの?」

「違う!」

「初ちゅーしちゃったのか、残念だね、零崎きっと初ちゅーはまだだな」

「いや、零崎くんはもう初ちゅーしたよ」

「ん?聞いたか?それ。絶対に嘘だねそんなの」

「いや、まじだって。初ちゅーの相手とべろんちゅーしたんだよ、あたしとしたのなんてセカンドでもないよ」

「え」
「あ」


口滑らせたー!!!!


「え?今何て言った?」
「な、何も言ってません」
「……初ちゅーの相手は零崎なの?」
「うにゃー!」


バレた!畜生!やっちまった!
うにゃにゃっ!いーくんが詰め寄ってきた!


「やっぱり恋人同士なの?」
「やっぱり!?ち、ちがうよ!ととと友達です!」
「キスしたんだろ?」
「っ!……いーくんだって潤さんとしたじゃん!」
「っ!なぜそれを…!」
「お見通しだぜ!」
「ぼくは不意打ちだったんだ!」
「あたしは不可抗力だった!見つめあってこう…互いにやっちまったのですよ!」
「ふぅん?じゃあぼくと見つめあったらやっちまうのかい?」

「いや」

きっぱりと首を振ったらいーくんが、何故か怒った。
頭を殴られたので殴り返したら取っ組み合い。押し倒された。

「んぎゃー!何すんのいーくん!」
「友恵ちゃんがキスするまで見つめる」
「受け身かよ!いーくん見つめるとか無理だよ!」

ガチャン。
そこでドアが開いた。障害物のないいーくんの部屋。あたしといーくんはばっちりと訪問者と目が合う。
姫ちゃんだ。

姫ちゃんが見るのは、いーくんに押し倒されてるあたし。
姫ちゃんは硬直した。


「姫ちゃん!助けて!襲われてるの!」


先手必勝。


「誰かー!セクハラです!強制猥褻です!強姦魔ですよ!乱交です!」
「乱交違う!」
「全部ちげえ!」


姫ちゃんが叫んだことにより、アパートの住人が全員集合して大事になりましたとさ。
いーくんは奈波ちゃんと衝突。萌太くんも乱入。いーくんはただただ避難された。自業自得だ。







「うにー!わーい!えーちゃんだぁ!」
「わーい!友ちゃん!」

友ちゃんのマンションへと訪問。いーくんのキス騒動は話さないでおこう。
ギュッ、と小さな身体を抱き締める。青い女の子。

「あれ?」
「ん?」
「えーちゃんなんか違う」

あたしから離れて友ちゃんはあたしをきょとんと見上げた。なんか違う?なにがだろう。化粧はしてないぞいつも。


「この前の怪我の時は落ち込んでたのに、今回はすっきりした顔だねー」


にぱーと、友ちゃんは笑ってそう言った。
この前は、澄百合学園から帰還した時の怪我だろうか。どっちかと言うと潤さんに凹まされた気がするのだが、すっきりしてるのだろうか?あたしは頬を押さえた。

「もっと落ち込んでると思ったよ」

「どうして?」

「死人がいっぱい出たでしょ?」

「………んー。死んだ人なんて全然…なんとも思ってないよ」

「そっか」

苦笑して答えておいた。友ちゃんはただ頷く。
潤さんにあたしのせいだと言われたって、可哀想に程度しか思えない。というか否定的だ。

「コンビニと映画館は僕様ちゃんがやっておいたから。死体は殺し屋の方で処理したらしいよー?」
「うん、そっか。ありがとうございます。なんかお礼をしなきゃね、何がいい?」
「じゃあ次の旅行は一緒に行こう」
「オッケー。いいよ」

ソファに座ってあたしと友ちゃんは話した。今日来た目的。お礼。正直コスプレだと覚悟したがそんなにあたしと旅行がしたかったのかな。

「いいけど、いーくんと二人きりじゃなくてもいいの?」
「うにー、いーちゃんとえーちゃんと行きたいの!」
「そっか、行こう」

あたしはにっこり笑って、友ちゃんは無邪気に笑った。

「えーちゃん大好きー」

「友ちゃん大好きー」

「僕様ちゃんね、えーちゃんにさっちゃんに会ってもらいたかったんだよ」

変な風に話題が逸れたぞ?さっちゃんと言えば……兎吊木だよね?旅行の目的。

「…………どうして?」
「えーちゃんにね、《チーム》の皆に会ってほしいと思ったからだよ」

友ちゃんはそう答えた。楽しげに足をぶらぶらと揺らして笑う。
《死線の蒼》が率いた《チーム》。サイバーテロリスト。
いーくんの代理品。

「なん」
「えーちゃんにはさ、魅力があると思うんだよね」

あたしが質問するより前に友ちゃんが言う。

「潤ちゃんが、魅惑な声で浸透して心を揺らすって言ったけど。そんな感じでさーえーちゃんはきっと、愛され肌だと思うんだー」
「…?」

にこにこ、友ちゃんは言った。


「だから、僕様ちゃん、えーちゃんを、愛してる」



 


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あきゅろす。
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