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ソラゴトモノクロ
67 初ちゅー


「ふぅー」
「ふぅー」

いーくんとハモる。


「どうした、いーくん」
「友恵ちゃんこそ」
「潤さんに会った」
「ああ、奇遇だね、ぼくもだよ」
「なんか……凹まされた」
「そうか……ぼくもだよ」


もう一度、あたしといーくんは溜め息を吐いた。
ダブル落ち込み。
原因は潤さんと+α。いーくんの場合+αの方だろう。
互いにやっぱり話を訊こうとしない。

「友恵ちゃんはさ」
「うにゃ」
「零崎に……」
「ん?」
「………なんでもない」
「………」
「………」
「………」
「……友恵ちゃん、エッチなことしない?」
「左手を踏んであげる」

話を逸らすにはセクハラすぎる。

「友恵ちゃんはキスしたことある?」
「セクハラだ」
「いや…真面目な話……すみません」
「………………いーくん、もしや………」
「………え?なに?なんだよ」

原作では潤さんにキスされたようななかったような。
ここは黙ってみることにした。いーくんは面白いほど焦る。

「こら、友恵ちゃん、黙るのはよくないぞ。黙るのは悪い癖だ」
「悪い癖だよ。キスならしたことあるよ、それがなに?」
「………何歳?」
「んー17歳」
「…フレンチ?」
「………うにゃ」
「……………そう」

……………………。
だめだ。笑いそう。初キス奪われたいーくんが可愛い。ウケる。うわわっ。


「初デートにキスしたのかな?」
「………………」
「ん?友恵ちゃん?」


嫌なとこに話を持って来たぞこの人。初キスってあれだよね。あの部屋だよね。相手は人識くんで。えーとあれは。


「もしかしてベッドイン?」
「違う!!セクハラ!!」
「すみません。大声出さないでください」


思わず声を上げたらみいこさんの部屋を気にしていーくん謝罪。
「そんなに初ちゅーを話せないの?」といーくん。
話せますよ、話せばいいんでしょ。


「…………その…ね…。部屋にいてさ。なんか…成り行きというか……見つめあってて………その……ちゅ、と………っ!」


頑張って言ったが真っ赤になって恥ずかしくて顔を隠す。

「甘酸っぱい初ちゅーだね……友恵ちゃん。君は乙女だ」

いーくんは感心したようにうんうん、と頷いた。
あれを甘酸っぱいと表現していいのだろうか。久々に恥ずかしい暴露だぞこれ。
嗚呼思い出しちゃって恥ずかしい。恥ずかしいぞう。

「ん?ちょっと待てよ、17歳だろ?もしかして友恵ちゃん、初ちゅーの男より零崎を選んでこっちに来ちゃったの?それともフリーだった?」

おっと勘違いされた。架空の彼氏がいると出されたぞ。初ちゅーがひーくんなのですが。……言えない。それはやめよう。変な方向へと話が行ってしまう。



 


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