[携帯モード] [URL送信]

ソラゴトモノクロ
66


「零崎曲識、ねえ。ここは人識くんがでるべきだろ。あいつ何やってんだ?」
「妹の世話中らしいですよ」
「シスコンかよ」
「零崎ですから仕方ない」
「あーでも、まぁまぁその妹可愛かったな」
「へこみませんよ、そんなこと言っても」
「人識くんより背が高かった」
「人識くんがちっちゃいだけっす」
「人識くんを庇ってたぜ」
「家族愛っす」

とりあえず終わりだ。

「問題は解決しました。すみませんね、仕事中に電話してしまって。仕事は無事終わりましたか?」

「おう、終ったぜ。つーか終わらせた。えーたんの為にすっ飛んできた」

「え…あ…それはありがとうございます。なのに先に解決してすみません」

「えーたん。勘違いするなよ、問題はまだ解決してない」

深々とあたしは頭を下げたががしりと掴まれ、顔を上げるのを止められる。

「うにゃ………解決してない?」正座して頭下げたままの姿勢なので辛いぞ、潤さん。

「あのコンビニは廃業だ」
「あ……ああ…そっか、その問題がありますね」
「それからギャルに昨日巻き添えを喰った客、店員は玖渚ちゃんに依頼してやる」

巻き添えを喰った。
あたしが。あたしがいけないみたいではないか。
それは。それは。

潤さんは黙ったあたしに「あん?違うと言うのか友恵ちゃん」と言った。思考を読まれてる。


「ギャル、園枝のり子っつーんだが。そのギャルは一人で映画に行かなかった、お前が一緒に行くと言ったからその映画館に行く羽目になったんだ。つまりはお前のせいだ」


きっぱりと、言いやがった。
あたしのせいだ。とそう言った。
否定しまくったそれを無理矢理肯定させる。真っ直ぐ。嘘偽りなく。


「二日目に鋏を向けた男だって、そんな会話さえしなきゃ殺そうとつけて来なかっただろ。曲識の言う通りだ、お前の言葉は声が手伝って心を揺らす。だからお前がぶちギレるのはあたしは怖い。キレればお前は人の心を掻き乱す、ぐちゃぐちゃに、滅茶苦茶に、鎌鼬のようにな。ムカついたからお前は言ったんだろ?それは効果抜群。脅されびびった貧相な男、そいつは中田小伸っつーてな、余談だが竹河兄弟に殺されたぜ」


死んだのか。
潤さんはあたしに会いに来る前に、全てを調べあげたようだ。
全く、恐ろしい人だ。


「全く、いーたんより怖いねぇ、えーたんの性質は。殺し屋に殺し屋を辞めろだって言うなんてな、お前は面白いなぁ、傑作だな」


笑っている。面白そうに。
ちょっと待て。殺し屋やめろを言ったことは省いたはずだぞ。なんで知ってんだこの人。


「えーたんは、普段は落ち着く存在だ。だがキレたらがらっと可愛い顔を脱いで攻撃する。動揺させて自分を見失わせ苛つかせなるようにならなくする。言葉と声が入り込んで影響させるんだよ。その言葉は竹河兄弟には無縁な言葉だったから、効果抜群だったろうな。無口な弟が、自分を見失わせキレさせた。兄貴は驚愕だったろう」
「な、なんで。なんでそれを知ってるんですか?潤さん」
「竹河兄弟に会ったからさ、さっき」


会ったのかよ。
顔を上げようとしたが上げられない。そろそろ腰が痛くなったです。


 


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!