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楽しむ黒猫
090



また雲雀から襲い掛かった。


喧嘩なれなどしてない椿は、動ける限り雲雀の攻撃を避ける。

ブンブン、円を描き回るトンファーが身体に叩き付ける為に振り回された。


右に左。
椿はバランスを崩さないように後ろに後退り避ける。


「逃げてばかりじゃつまらないよ」

「武器になれてないんだもん」


   ザッ


左足でブレーキをかけた。
そして左に下げた棒を両手で握り締め、右足を踏み込む。


思いっきり、上に棒を振り上げた。


   ガキィンッ


驚いた雲雀がトンファーで顔を守ってから、二歩下がった。


椿は振り上げた棒をそのまま振り下ろす。


どうせ、受け止められるだろうが。


   ガキィン!!


「…ずいぶんと六道骸と武器の使い方が違うね」

「骸君とは違うもの。刀の方が合うかな」


今のは山本をイメージしてやってみた。


「弱いけどね」


気を緩んだ隙をつかれて、交わる武器で押された。


「あっ」


   ガッ


「っ痛」


顔面に向かってトンファーが飛んできた為、慌てて防ごうとしたが防ぎ切れなかった。
弾かれた棒が顔に当たる。


「休んでる暇はない」

「おっと!」


唇の端を切ってしまい、気にして触っていたら容赦なく横からトンファーが振られた。
咄嗟にしゃがんで避ければ、しゃがんだとこにもう一つのトンファーが振り下ろされる。


椿は足をバネにその場から離れた。
地面に穴が空く。


「っ」


   ガキィンッ


次はちゃんと立ち上がり防ごうとしたが、また握りが甘く武器は弾き飛ばされた。


「おわ…」


武器を手にしていないからと言って武器をとる時間をくれる訳もなく雲雀は襲い掛かる。


「ちょ、タンマ!」

「やだよ」


咬み殺したい。そんな笑みを浮かべて襲い掛かる雲雀と言ったら、楽しそうだ。


まぁ、いっか楽しそうなら。と椿は半分自分の安否を諦めた。


自分をほめるべきだ。
よく頑張った。

初心者にしてはよく頑張ったではないか。
我ながらいい動きだった。


自画自賛しながらも避けていってふと気付く。


雲雀が右腕を狙っている。


狙うなと言ったのに。


この性格は修復不可能だろうか?
いや、今なら間に合うだろう。


……いや、人の個性だ。修復不可だきっと(決め付け)



 


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あきゅろす。
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