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楽しむ黒猫
54 遭遇



「ね?すごいでしょ」


カーゲームでハンドルを握った骸と雲雀は激しくハンドルを切り、車体をぶつけあった。

障害物を避けてはまたぶつけあう。


(子供……)

(ガキ…)


綱吉と獄寺は呆れたが椿は愉快そうに笑って二人を応援していた。


「咬み殺す!!」

「クフフ、事故りなさい!!」



ゲーム機でむきになる二人。
ガシャンガシャンと画面の中の車体は激しくぶつかり合う。

椿は腹が痛い程ウケている。


「もう一回やって」

「まだやらせるの!?」


タイムアップでゲームが終われば、椿は笑って言った。素早く綱吉はツッコミを入れる。


冗談はやめておいて次は皆でやるゲームにしようと椿は提案した。


四人を引き連れて椿はゲーム機を探した。


   ぽんっ


最後尾にいた綱吉は誰かに肩を叩かれて振り返った。


「……?」


キョトンと首を傾げれば


「ぐぇ!?」

「!」


その声に椿達は振り返った。

綱吉は男の腕で首を絞められている。


「10代目!!」

「なんなんですか!」


椿は引き返して獄寺の隣に立った。


………………げっ…


男の顔を見て椿は苦い顔をする。


定時制の先輩であり、雲雀達の手によりボコボコにされた不良だ。


ぞろぞろ、と数人が男の隣に現れる。明らかに柄の悪い輩だ。


「てめーらこの前はよくもやってくれたな!動くなよ!こいつがどーなってもいいのか!?」

「うっ」

「てめぇ卑怯だぞ!!」


綱吉を人質にした男を獄寺は睨み付けた。


「何も、しちゃだめよ…武器を出さないでください」


椿は背後にいる雲雀達にも静かに指示した。


「なんでだい?」


咬み殺す相手が出てきてニヤリと笑みを洩らすのは雲雀。


「こんなとこで喧嘩したら許さない。夕飯抜き」


椿は鋭く低い声で言った。

一歩、椿は歩み出す。


「近付くなてめぇは引っ込んでろ!」

はぁ?


ギロ、と椿は睨み上げた。


卑怯にも程がある。
椿を人質にとって今度は共犯だが何もしていない綱吉を人質にするとは。


前からコイツは嫌いだ。
友人に絡むなり、市内追放。

煙草は吸うわ暴力沙汰を起こすわでどうしようもない不良達だ。


 

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