楽しむ黒猫
28
「あれだよ…ちょっとした暗号」
「ほーう、どんな意味があるんでしょうか?是非聞きたいです、椿さん。まず目を合わせてください」
「やだな骸君、君の綺麗すぎる顔を見たら倒れてしまうわ」
顎を掴む骸と目が会わないように椿は薄い笑みのまま白い壁を見つめていた。
嘘ではない。
実際綺麗に整った骸の顔は近すぎる。
「答えないと咬み殺すよ」
「冷たいよ、雲雀君。つうか髪引っ張らないで」
トンファーが首に押し当てられ髪を掴まれる。雲雀の顔も近い。
ずるずる下がれば背中に壁。
なんていうシチュエーション。
骸と雲雀に挟まれた。
綺麗な顔を間近で直視をしたらきっと目を奪われて息もできないかもしれない。
気を抜けたら見とれるぐらいだ。
「………BLだよ」
「「「…びーえる…?」」」
観念して口を開けば、骸と綱吉、獄寺が聞き返した。
この人達ノーマルだ、と何故か喜んだ椿。
「ボーイズラブだよ、漫画にはねそうゆうのあるの、同人誌っていうの。あっはっは!でも一番ウケてるのはムクツナだけどね!」
ズザザザと自分から二人が離れたのを感じたが椿はあえて見なかった。
軽く傷付く。
「君、そっち系なんだ…へぇ」
「……」
「椿ちゃん…」
「腐女子だ、オタクだ!」
「おっと!腐女子は違うよ、ごっきゅん腐女子は知ってるのね。てかオタクなら君でしょ、乙女座ってオタクになるって知ってた?」
ペラペラと言えば獄寺は絶句した。
「名誉のために言いますと、私はBLより夢小説派なんです。単にその漫画を一二冊持ってるだけです」
「今すぐ捨てなよ」
「絵がうまい漫画家さんのだから嫌です。捨てきれない」
「椿さん、その漫画家さんと天野先生どちらがいいんですか?」
「もちろん君達を描いた先生に決まってます、あの人神です」
「では捨てなさい。そして金輪際腐女子発言は禁止ですよ、ヘドが出ます」
黒く笑う骸に椿は頭を軽く下げて謝った。
原作に決まってるけど…
同人誌みたら彼らは暴れそうだ。
否、ショックのあまり卒倒もあり得る。
ノーマルで微笑ましい。うん。
じゃなかったらちょっと気まずいです、だって同居してるしね!
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