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楽しむ黒猫
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なんとも言えない体勢で挟まれている椿。

そんな椿を支えて(?)睨み合う雲雀と骸。


必死にトンファを押さえていた足が限界を向けた。


それが合図となり、雲雀と骸は武器を交じりあわせる。


支えを失った椿はドタン。

無様に落下。


「椿ちゃんっ…!」


頭を押さえて踞る椿を心配するのは綱吉だけ。
獄寺は止めようと怒鳴り散らす。

だが武器がぶつかり合う音は止まない。


…イライライライラ。


イライライライライライライライライライライライライライライライライライライライラ…ぶち。


…出てけぇええええっ!!!!


ぶちキレた椿に、一同は追い出された。


「てめえらのせいでオレと10代目まで追い出されたじゃねぇか!!」

「お、落ち着いてっ」

「仕方ありません。僕達が居ては椿さんも集中できないみたいですし」

(骸とヒバリさんが主な原因だけど…)

「適当に暇を潰しましょう」

「そうだね…」


スタスタ。
既に何処かへと行ってしまう雲雀を眺めながら、骸も何処かへと歩き出す。

残された綱吉と獄寺は時間を潰す方法を話し合ってからアパートを離れた。







一人になり、静かになった部屋で椿は黙々と漫画を描いた。


かなり集中できて、気付けばもう夕陽が窓から射し込んできていた。


んーと背伸びをする。


(よし、なかなかいい感じだ)


見直しながら、テーブルにべたりと顔を置く。


いつしか、瞼が落ちて、目を閉じる。


疲れて、眠り込んだ。





寝息だけが聴こえるその部屋の扉が開かれる。

静かに歩み寄る人物に気付きもせず、椿は夢の中。


テーブルに眠っている椿を、彼はきょとんと見下ろす。


よっぽど疲れたのだろう。


そんな体勢で寝れば身体を痛くするに決まっている。

せめてソファーに寝かせてやろう。


彼は椿の肩に手を置いた。


「んにゃ…」と椿が寝言を漏らす。


そんな無防備な寝顔を見て、彼は気を変えた。


彼女の頬に触れる。
柔らかくもっちりした頬。

膝をつき、そっと顔を近付ける。


その頬に、唇を重ねた。


一度離れる。

目を開くのを待ったが、椿は起きない。


また顔を近付けた。


次は耳に唇を近付ける。


「───────椿」


椿の瞼が微かに反応した。


もう一度、囁く。


「…ん……」


少し動いたが、椿はまだ起きない。


「椿」


今度は甘く囁いた。


うっすらと、椿は瞳を開いた。


ゆっくりと瞬きをして、目の前の彼に目を向ける。

起きたばかりの上に、薄暗い部屋のせいでよく見えなかった。


誰だ…?

顔を上げてよく見ようとすれば、唇になにかが当たった。


彼の唇だ。





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