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楽しむ黒猫
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「っ!!やっぱりごめん!」

「え…?」


もう唇が触れた気がしたが椿は咄嗟に身を引いて避けた。
予想もしなかった骸は唖然とする。


「ご、ごめん…」


必死に謝る。

もう一つ思い出してしまったのだ。

雲雀のキス。

強引にやられたあのキスに今度は頭の中が支配されて心臓が破裂しそうだ。


骸のキスは好きだ。
いや、好きってなんだよ。キス魔かよ。

骸は予めキスをねだって、甘い口付けをしてくれる。
それは優しくもうとろとろに溶けてしまいそうな。


溶けるで思い出す雪見だいふく。自分と雲雀の口の中で溶けていったあのバニラ。

窒息しそうなほど激しいキス。


もう止そう。
二人のキスを比べると体の熱が上がりそうだ。


とにかく問題なのは、二人にキスをされたこと。
問題だ。かなりの大問題だ。

何かヤバそうな方向にいってしまっている気がする。
ここはもう、骸にねだられても断った方がいい。


秩序が崩壊しそうだ。


「なんで…ですか?」


怪訝な表情で骸は訊いた。


「ええーと…やっぱり金髪美人とかにキスさせてもらったら?その方が慰めになるんじゃない?」

「……慰め…?」


椿は両手を手前で必死に振って言い訳をした。


この人は何処まで鈍感なのだろうか。


慰めでキスをねだるわけがないだろう。否、あるかもしれないが、その場合相手は…。

一息、骸は吐いて未だ謝る椿を見た。


「…椿」


甘く優しく、そして愛しげに名を呼んで骸は微笑んだ。

椿の両手をやんわりとって、固定した。


そして、唇を重ねた。


理解する、逃げる暇も与えられなかった椿は目を丸めるしかできない。


完全無防備の椿の唇を唇で何度も甘く吸うようにキスをする骸。

ぐちゃぐちゃにしたい衝動にかられながらも、甘い唇を堪能した。


もっと深く、と椿の口を少々強引に開けば、やっと反応して震え上がった。


避けようと仰け反るが、両手をしっかり捕まえている為、そう安易に逃れられない。


角度を変えて、より深く。
椿の唇を犯す。


椿の香りを吸い込み、椿の唇を吸い込む。
椿の雰囲気に浸り、椿の手を握り締める。


もっと。と欲求はましていった。


「んっ」


洩れる椿の甘い声にゾクリとする。

椿の両手を片手で握り、もう片方の手で骸は椿の頭に手を置いて引き寄せた。


引き寄せ、舌を絡めとる。
堪能して味わう。


もっとだ。


もっと椿を独占したい。
このまま身体も心も手にいれたい。


 


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あきゅろす。
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