楽しむ黒猫
013 水も滴るいい子達
「あの…やっぱり帰っちゃう?」
「なんで?」
食事が済んで椿が皿を洗っていれば綱吉が声を潜めて話し掛けた。
「椿ちゃんいないとなんかこう…すごい気まずいんだ…」
「そうなの?じゃあ泊まろうかな」
「ホント!?」
喜ぶ綱吉に椿はにんまり笑みを返した。
お役に立てるなら本望だ。
本当に綱吉は苦労人だな、と椿は笑った。
順番に綱吉達はお風呂に入って、テレビを見ながら寛いだ。
椿は綱吉の髪が濡れたままのため、タオルで拭いた。
「わわっ椿ちゃんいいよ///」
「クフフ、滑稽ですね。沢田綱吉」
「順番でやってあげますよ、次は六道君」
「「え、」」
真っ赤になって抵抗する綱吉を骸が嘲笑わればとばっちりを喰う。
獄寺は急いで自分の髪を乱暴に拭いた。
「い、いいですよ!僕は子供じゃない…」
「あたしより2つ下じゃないですか〜♪クフフフフ」
明らかに楽しげな椿は骸の笑いを真似てニヤニヤする。
「逃がしませんよ!」
「っ!」
骸を確保して頭にタオルを被せる椿。
捕まって骸は無駄な足掻きを止めて大人しく拭かれた。
(恐るべし!!)
骸さえも強引にやる椿。しかも楽しみながら。
「六道君、すごいいいにおいする…」
「シャンプーですよ」
お風呂上がりのせいか、骸の頬が赤いのを綱吉は見ていた。
ギロリと睨まれてたじろぐ。
「次獄寺君ー」
「お、オレは乾いた!!」
「……ホントだ…チッ」
獄寺に標的を変えた椿は髪に触れて舌打ちをした。
(せ、セーフ…)
ほっとして胸を撫で下ろす獄寺は舌打ちは無視する。
残るは雲雀。
「………………」
一同は雲雀を見た。ソファに偉そうに座った雲雀の髪は明らかに拭いていない。
肩にかけたタオルが髪の毛から落ちる雫を吸う。
「雲雀君も髪拭くね」
椿は隣に座って雲雀の髪を両手で拭いた。
雲雀は何も言わない。
((大人しくやられてる…!!))
一切の抵抗なしの雲雀を見る。
少女に髪を拭かれる雲雀、実におかしな光景だ。
まるで姉弟にも見える。
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