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楽しむ黒猫
140 息子



顔は見えないが見つめた。


それからそっと手を絡ませてみる。
柔らかい椿の手。


指の間に指を入れる。


ドクドク、いつしか大きく跳ねている心音。

熱を感じる。

掌、胸に、肩に、頬に。


聴こえる、黒猫の可憐な足音。


近付く距離が気持ちよくて、雲雀は目を閉じる。

コレに溺れて眠りに落ちたい。


ゆっくりと沈むのを感じて身を委ねていたら


   グイッ


「椿さん、もう寝るなら布団敷きましょうか?」


椿の腕を引っ張り骸が離させた。急に引っ張られた椿は当然目を覚ます。


「はひ…?…いいえ、大丈夫です。先にお風呂入りますね」


トロンっとした目を擦りながら椿は欠伸を洩らして立ち上がった。


雲雀はギロリと骸を睨み上げたが、骸はそっぽを向く。


「………あの二人」

「へ?」

「…なんで、椿ちゃんを取り合ってるんだろう…」


寝室で寝巻きの準備をしていた綱吉のいきなりの呟きに獄寺は身体を震え上がらせる。


気付くのは当然か。

目の前にはっきりとやっているのだから。気付かないのは椿だけだ。


「あれじゃないっスか?遊姫は便利だから!」

「………そうなのかな」


浮かない顔の綱吉に獄寺は顔をひきつらせた。

やっぱり綱吉は…──。







  くしゃくしゃ


お風呂上がりの彼らの頭を拭くのも習慣になるだろう。

獄寺はかなり抵抗したが椿の剣幕に負けて強制的に頭を拭かれた。


真っ赤になって大人しくする獄寺を椿と骸は笑う。


「なんか本当に四人のお母さんになった気分」

「息子になった覚えはねぇ!」

「いや…そーじゃねぇし」


無駄に吠える獄寺に呆れる椿。


「椿さんはどの息子を一番可愛がってくれますか?」


頬杖をついた骸が聞いた。

椿はノリノリで四人の顔を見る。綱吉と雲雀も興味津々に目を向けた。


「ん〜っとね。ん〜っとね」


椿は四人の顔を見比べて考える。息子として可愛がるとしたら…


綱吉、獄寺、雲雀、骸を見つめる。

熱い椿の視線。
丸い大きな瞳。


吸い込まれそうな瞳にポケーと見とれる綱吉。

睫毛長い。

綺麗な瞳。


ポカーンと口を開いたまま見つめていれば、


   パコンッ


ぐふっ

「口開きすぎだよ、綱吉君」


顎を叩かれて綱吉は口を閉じた。

ごへんなさい、と涙目で顎をさする綱吉の頭を椿は撫でる。


「綱吉君も可愛くていい子だけどなー。獄寺君もありだねーツンデレの息子とか萌えるvv」

「お前どんな母親になるつもりだ!?」


獄寺のツッコミは華麗にスルー。


 


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あきゅろす。
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