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楽しむ黒猫
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「Σうお」


雲雀の言葉を遮るように、椿の携帯電話が鳴り響いた。


「…うーげぇ…」


携帯電話のディスプレイを見て心底嫌そうな顔をする椿は立ち上がり電話に出た。


二言話して椿は重たい溜め息をつく。

それから雲雀を見た。


「…ごめん、雲雀君。帰らなくちゃ」

「……どうして?」


手を合わせて謝るが雲雀は納得いかず顔をしかめる。


「ごめんね、満月に月見しようよ。ねっ?」


椿は仕方なさそうに笑って雲雀の頭を撫でた。


「……母親に従うことないんじゃないの?」

「未成年者は片身狭い思いをしているのです」


椿は笑いのけた。
ムスッとした雲雀を置いてリビングに戻れば


「骸君…何その体制」

「…いえ、別に…」


骸は先程の空気を阻止しようと立ち上がる途中だった。

拍子抜けして中腰のままいたが椿に言われて骸は腰を降ろした。


「じゃあ帰るね、朝くるから。じゃあね、骸君、雲雀君、獄寺君」


にっこり。荷物をまとめて振り返った椿。

そしてあたかも存在していないように扱われる綱吉はまた無視された。


椿はさっさと出ていって帰ってしまった。


「……う」

「う?」

うわぁああーんっ!!

「Σ10代目ぇえ!!」


綱吉は泣いた。
獄寺は必死に慰める。


「クフフ、一生分の雪見だいふくを買った方がいいんじゃないですか?ボンゴレ」

「…うん…買いに行こうかな」

「10代目!!骸の言葉を鵜呑みにしちゃいきません!!」


あーだこーだ話す中、雲雀だけは夜空に白い溜め息を洩らした。







白い溜め息を吐くのはもう一人。


家のアパートの階段を上がり椿は溜め息を溢した。


「…ただいま」

「どこいってたの?」


家に入るなり待ち構えていた母親が問い詰めてきて椿はしかめた。


「学校」

「今日学校から電話きたわよ、ずっと学校行かないでどこいってたの?」


げっと椿はまずいと悟る。学校に行っていなかったのをバレた。


「そ、それは…」


ちゃんと説明しようと思った。


   パシッ


いきなり頬に痛みが走る。

母親に叩かれた。


「働きもしないで!何のために学校に入ったのよ!!」


怒鳴られて椿はビクッと震えた。


「こんなくだらないもの描いて!!おまえは何の為にいるのよ!!」

「っ」


椿は唇を食いしばって怒鳴る母親を睨み付けた。


「何よその目は」

「やめてよ!!」


髪を引っ張られて椿は思わず振り払った。


それが親にする態度!?アンタなんて産んだのが間違いだった!!


その言葉が椿をカッとさせる。

椿は母親の頬を掌で叩いた。


こっちだって産んでほしかった訳じゃない!!


力一杯。怒り任せに椿は怒鳴った。


このクソババアが!!アンタを母親だって思ったことない!!子供のことを無理矢理振り回して何もわかっちゃいない!!


   パンッ


また椿は母親に叩かれた。耐えきれず椿は倒れる。

ギッと椿は睨み上げた。


 


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あきゅろす。
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