[通常モード] [URL送信]

楽しむ黒猫
107



ずかずかと踏みはいる。

足音なんてない。

気まぐれで華麗な足取りで

君は入り込んだ。










偽りのデート。
彼女が選んだのは六道骸だった。


ムカつく。なんで彼女はこんなにも僕を苛つかせる?


「あれ?椿ちゃんは?」

「帰りましたよ、母親から帰って来いとの電話が来ましてね…かなり縛られているようですね」


九時過ぎ。六道骸は帰ってきた。
彼女はいない。

なんだか、彼は気分がいいみたい。

それがムカつく…

ムカつく。


「明日、皆で遊びに行こうと言っていましたよ?」

「え、ほんと?」

「遊ぶって…また不良が絡んだりしねーよな?」

「大丈夫でしょう、彼女だって考えてますからね」


ムカつく…
ムカつく……


くしゃりと、髪を握り締める。
苛々が止まらない。


「……」


止まらない。







翌日、彼女は来た。


「ただいま」

「おかえり!」


沢田綱吉が一番に迎えに行く。
それから彼女はキッチンに入る。

それを僕はソファから見た。
少しして目を逸らす。


「どうだったんだ?昨日。上手く騙せたのか?」


始まった食事。先に口を開いたのは獄寺隼人だった。


「うん、まーね」


無表情で頷いた彼女。

静かに食べていたかと思えばパッと目を輝かせて顔を上げた。


「今日遊びに行きましょ?最近家ばかりでしょ?ぱーっと金使って遊びなよ」


明るい笑顔で沢田綱吉に彼女はウキウキした様子で話し掛ける。

バカみたいだ


「ねっ?聞いてる?雲雀君」


ごちゃごちゃと彼らと話していた彼女は予告もなしに僕を見上げて首を傾げた。


「……」


見上げる丸いブラウンの瞳をチラリとだけ見て、また手元を見る。何も答えず食べた。


「皆で遊びに行こうって言ってるんです」

「……行かないよ」


歳上のくせにたまに敬語を使うのが時々…ムカつく


「独りぼっちになっちゃうよ?行こう」

「行かないよ」


独りぼっちって…
どれだけ君は僕を子供扱いするの?


睨み付けてみたけど
彼女が僕だけを見ていると気付いて、なんだか……


 


[次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!