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楽しむ黒猫
102 試着



「てか骸君どこから金を出すのさ?廃墟に居座ってるくせに。幻覚で騙してたのかい」

「椿、服買いませんか?」

Σうおい!流すな!


クルリと方向転換してアオイ達の方へと歩き出す骸。
聞き出せなかった椿は舌打ちしてレジに向かう。


「椿、服を買いましょ」


戻れば爽やかな笑顔で言われる。先程の話題は拒絶と言うわけか。
仕方なく椿は触れることなくアオイ達の案内でお勧めの衣服店に向かった。


骸が迷わず向かったのは婦人服。


「む……恭弥?」

「ほら、椿。貴女に似合いそうですよ」


手にした服を骸が椿の体に合わせて言う。椿はそれを退かす。


「あたしより、君の服を」

「今日は僕がコーディネートしますよ、椿。“彼氏”の言うことはちゃんと聞いてください」


彼氏、を強調して骸は微笑む。


「付き合ってあげてるのですから、僕にも楽しませてください」

「……着せ替え人形になれと?」


アオイ達もこっちに来た為、骸は椿に耳打ちした。椿はムッと口を尖らせる。

遊ばれるのは嫌だ。
骸にはSっ気を感じるから尚更許してはいけない気がする。


しかし骸の言う通り、付き合ってもらってるのだからしたいようにしてやりたい。


「わかった。ねー、アオちゃんファッションショーやろー」

「えー、なにそれ」


悪いがアオイを道連れにする。


「彼氏が服を選んで彼女が試着」

「いいですね、やりましょう?」

「わかった」

「楽しそうだな」


すんなりアオイ達も参加すると頷いた。
彼女に着てもらいたい服、と言うことで真剣に考える彼氏組。


「変なのにしたらブッ飛ばす」

「あたしも蹴り飛ばす」



笑顔で言い退けるのは彼女組。
末恐ろしい女の子。


「苦労してんな、お互い」

「貴方も相当苦労しているようですね…」


脅された彼氏組は苦労人らしい。


椿は骸が服を選ぶのを見るのに飽きて、自分も服を眺めた。

冬だし何か暖かい服が欲しい。

ボーダーやらセーターやらを見ていれば、肩を叩かれた。

見れば、黒のミニスカート。


「これ、どうですか?ほら椿がスカート履いている姿見たことありませんから」

「……まぁいいけど」


確かにスカートは履かなかった。
もしも乱闘が起きた時、スカートじゃ回し蹴りができないからだ。


「じゃあ決まりですね」


アオイ達も決まったらしく仲良く試着室に入っていく。


「…」


ワンピも脱いで、椿は服に着替える。
その音をすぐ外で骸は聞いている。小さなドアを挟んだそこで。


 


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