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小説
一神の娘と一人の男                        双子座弟と女神 冥界編の短剣を持ってくるカノンのシーン

















「カノン。持ってきて欲しいものがあるのです」








神殿の前。
「……」
俺の手の中には装飾された箱。
戻ってきた俺に気付いた様子もなく、こちらに背を向け神像を見上げる少女。
背後から近づく俺。
歩み寄りながら箱を開け、宝剣を取り出す。
箱が邪魔だ。そっと階段に降ろす。物音で少女が振り返るかもしれない。
そして、両手で
女神の背に向けて振り上げた。

「カノン」

「!!」
ポツリ…。女神の呼びかけ。
ゾクリ…。硬直する体。
沈黙…。振り上げられたままの腕。その手には剣。
サワリ…。少女の背。風に踊る髪。
「…貴方に謝らなくてはいけない事があります」
返事は出来ず。
「私は結局、サガを助ける事が出来ませんでした」
こちらの様子など気にした様子もなく独白する少女。
「貴方は昔の彼。とてもとても孤独な人。一人で生き続けるのはとても寂しい」
沙羅双樹の花びら。
「何も私は出来ない。今、貴方に命をあげることも」
場違いに綺麗。
「だから、私は貴方を救えない」
神像はただ正面を見据えるばかり。
目の前の本人ははっきりと言った。

「…生きていてごめんなさい」

「!女神……!!」
言葉は続かず。
いつの間にか下ろされていた両腕。
冷たい宝剣。現実は痛い。



サガ。
お前に謝らなきゃいけないことがある。
結局俺はお前の仇を取れなかった。



嗚呼、だが。
今、冥界の空。
あの時、あの神殿で。
一瞬見えた幻覚。
あの、翼ある少年は

一体誰だったのだろうか…?












あとがき
答・アイオロス
本当は星矢がよかったが…。死んでないし…。
ボカロの『白ノ娘』を聞いていて、聖闘士星矢の世界で、敵討ちってないな。とふと思ったので。
貴女のせいでサガは死んだ。だから死んでくれ。
で、魔のさしたカノンは宝剣を手に取る、みたいな。
しかもカノンがアイオロスを知らないバージョンだ。
この場合、幼少時代のカノンは軟禁状態ぐらいのレベルの生活。
サガはカノンの全てだったのに…!みたいな。
女神が殺されそうなるシーンにアイオロスはもう必ず付いてくるオプションですな。


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あきゅろす。
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