小説 時の流転 オールキャラ・シオン多め 原作・LC混合ネタ(Gも少し) 「………今、なんて……」 「やだわ。耳が遠くなったの?クロノスお爺様」 「…………」 ここは冥界。 冥王謁見の間、ジュデッカにいるのは冥王ハーデスと女神アテナと王クロノス。 「聞こえなかったのなら仕方がないわ。もう一度言ってあげる」 「いや、アテナ…。聞こえなかったわけでは……」 「じゃあ何?何か問題が?」 「大有りだ。何をふざけた事を…」 「ふざけてなんていないわ」 「ハーデス。お前も何か言え」 「断る」 「父の命令だが?」 「余はお前を父と思ったことはない」 「何と非情な息子だ」 「産まれたばかりの余を丸呑みにしたのはどこのどいつだ」 「そんな事はどうでもいいのです。クロノス、これは命令よ」 「何故、孫にそんな事を命令されなければいけないのだ。だいたい、すでに死んでいるのだからハーデスの管轄のはず」 「ハーデスに命令したら無理って言ったからよ」 「……」 「だったら時を逆流させればいいじゃない」 アテナは有無を言わせず微笑んだ。 「ね?クロノスお爺様。私、会いたいの」 次の日の聖域。 教皇の間。アテナの寝室。 「アテナ。シオンにございます」 入室の許可を…。と言外に滲ませて扉の前で待っていると。 きぃ… 「…え」 扉が開かれた。 普段は中から「どうぞ」などの返事があり入室…の手はず。 慌ててシオンはその場にぬかずき顔を伏せた。 しかし次の瞬間、聞こえた声に。 「…シオン………?」 「!!??」 半端なく驚きがばりと顔を上げた。 視界に飛び込んできた人物。 薄紫の髪。白いワンピースドレスにむき出しの肩を覆うケープ。 そこにいたのは前聖戦の女神。 肉体の名はサーシャ。冥王を弟に持つ、心優しき強き女神。 「アテナ様!?」 「ああ。やっぱりシオン…。貴方なのね」 膝を付いたままのシオンに、合わせるように膝を折ったサーシャ女神が微笑む。 「変わらない…」 一方のシオンは完全に絶句。 だって彼女は、前聖戦で……!! 「混乱してるわねシオン。大丈夫。私がいるのは一時的なものだから」 「ど…どういうことで……!?」 「説明する前にねシオン」 困ったようにサーシャが微笑む。 「皆を呼んだほうが良いわ。パニックが暴動を呼ぶ前に」 「…は?」 刹那。 「!!」 十二宮から巨大な小宇宙が爆発。 冥王戦の時とて此処まで荒れ狂った小宇宙の爆発はなかった。 「何事だ…!?」 「ああ…いけない」 サーシャが立ち上がり教皇の間に走り出す。 「アテナ様…!!」 慌てて後を追うシオン。 教皇の間。 そこも通り過ぎ、サーシャは教皇宮から出て叫んだ。 『みんな、静まって!』 大いなる神の意思。 一瞬にして十二宮の小宇宙が小さくなる。 だが、小さくなっただけで、今だ、漣の様に小宇宙が荒れる。 「シオン。大至急現代の黄金聖闘士達を教皇の間に。その際、それぞれの宮に突然現れた、見知らぬ人を連れてくることを伝えて下さい」 「は。……は?」 見知らぬ人? 困惑顔のシオンにアテナは微笑む。 「貴方にとっては、なつかしい人よ。…さあ、私たちは教皇の間で待ちましょう」 背を向けるサーシャ。 慌てて念話で黄金聖闘士達に今のサーシャの言葉を伝令。 後を追い、教皇宮に入ると 「お帰りなさい。シオン」 「アテナ!」 そこには現代のアテナ、城戸沙織がいた。 無論、隣には前聖戦の女神サーシャも。 「アテナ…」 「ふふふふふ。驚いた?」 嬉しそうに笑うアテナ。 「一体これは…」 シオンが問うと女神はあっさり。 「だって会いたかったんだもの」 「会いたかった…?」 「ええ。……ホラ来た」 振り返れば。 「そんな……!!」 シオンはそれ以上の言葉を続ける事が出来なかった。 そこにいたのは24人の戦士。 ムウ、アルデバラン、サガ、カノン、デスマスク、アイオリア、シャカ、童虎、ミロ、アイオロス、シュラ、カミュ、アフロディーテ。 ハスガード、アスプロス、デフテロス、マニゴルド、レグルス、アスミタ、カルディア、シジフォス、エルシド、デジェル、アルバフィカ。 さらに。 「我が師…!」 前教皇セージにハクレイ。アトラまで共にいる。 「シオン!これは一体どういうことじゃ!!」 童虎さえも興奮気味だ。 「何故彼らが…!!!!」 「教皇!彼らは一体誰です」 珍しい事に、アイオロスが童虎の言葉にかぶせるようにシオンに問う。 「いきなり宮に現れた。侵入者なら容赦しない!」 ミロが獰猛に言う。 「ほう…。お前言うじゃないか。…やるか?」 「止めよカルディア。アテナ様の御前ぞ」 セージが沙織に向かい頭を下げる。 「今世のアテナ様とお見受けする。お初にお目にかかります」 沙織も頭を下げる。 「初めまして。…ごめんなさい、私の我が儘で起こしてしまって」 「それには及びません。甦ったわけではありませんから。これは人為的な時のねじれ。我々は約200年前の今日、まだ生きているのですから」 セージは眩しそうに戦士を見返す。 「これが現世の黄金たち…。……良く似ている」 「……」 セージのいうのは見た目の話ではない。 あくまで小宇宙の話。または運命とか宿命とか。 「さあさあ。そんなに睨み合わないの!」 沙織がパンパンと手を叩く。 「紹介が必要ね。シオン。宜しくて?」 「私がですか!?」 自分も状況が分かってないのに!?と言いたげなシオン。 「だって、両方を知っているのは童虎とシオンだけよ?じゃあ二人でお願い」 二人なら良いという話ではない。 「しかしアテナ。我々では彼らの紹介は出来ても事情がまったく分かりませんので、そちらの説明を先にお願いします」 「簡単な話よ。クロノスを脅したの」 「…………は?」 ぽかんとなる女神S以外の面々。 「人んちの聖闘士を勝手に使っておいて、ただとは言わせないわ。と」 「使う…?」 「サガやアイオリアが随分世話になったみたいね。と言ったら頬を引きつらせていたわ」 ほほほほと笑う沙織。 顔を青くするサガとアイオリア。 「ア…アテナ……。脅したって…」 「最初はハーデスを脅してみたのだけど、「そんな昔の魂、どこにあるか知らん」とかのたまったから、ニケの聖杖で脳天チョップしてやったわ」 「……」 別の意味で頬を引きつらせる面々。 「クロノスも「めんどい」なんて言うもんだから、正義の盾『アイギス』を振り上げたら「分かった分かったからそれを振り上げるな振り下ろすなあああ!!」って」 見ものだったわあ。と笑う沙織。 私も少し見たかったかもしれません。と小首を傾げるサーシャ。 ……よくよく考えれば沙織もサーシャも同じくアテナなのだ。 性格はまったく違かろうと、根本は一緒。 意思強き、負けず嫌い。 「さ。現状は以上よ」 後は仲良くやりなさい。 微笑んで二人は背を向ける。 「は…?アテナ…?ちょ、ええ…!?」 本気で困った様子の現代黄金聖闘士が呼び止めるのを華麗にスルーし、二人の女神は奥へと消えた。 「なつかしいな皆!ああ。アルデバラン…と言うと現代の牡牛座と混合するの」 「ハスガードでかまわん。童虎」 「シジフォス。すまなかった。お前たちが大変な時、わしは一人動けずじまいで…」 「かまわないさ。頼りになる双子座が動く事も分かってたし」 「ああ。デフテロス。あの時は世話になった…。そしてアスプロス。一段となつかしいのお」 一人煌々としゃべる童虎。 「シオン。久しいな」 「アルバフィカ…」 「あの時はすまなかった。血に汚れた私の遺体を運んでくれたらしいな」 「当たり前だろう…!」 「しかし、お前が今や教皇とはなあ」 「マニゴルド…!」 「これも導きだろう」 「アスミタ…」 「お前、アテナ様もいなくなった。…やるか?」 「ああ?」 「止めろカルディア。…すまない」 「喧嘩を買うなミロ。…こちらこそすまない」 「なんだよ。止めるならお前が相手をするか?デジェル」 「何で止めるんだよカミュ。こいつすっげえ強そうだぜ」 いいかげんやかましくなる教皇の間。 次の瞬間。 「「うろたえるな小僧どもー!!」」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!!!!????」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 教皇奥義。必殺うろたえるな小僧どもが二重で発動。 それは、軽いビックバン並みの威力を発揮し、黄金聖闘士(乙女座以外)が見事に吹っ飛び顔面落ち。 「アテナ様の言葉を忘れたか!?仲良くせよとの仰せ」 「再会は今始まったばかり!今こそアテナのお言葉に従い手を取り合うとき!」 「お…恐れながら教皇…」 床から顔だけを上げ、シジフォスが言う。 「「何だ?」」 それに対して、セージとシオンが顔を向ける。 「二人掛りのその技は少々危険かと…(ガクッ)」 「シジフォスが死んだあああ…」 「だ、誰か医師を呼べ…」 床を這いつくばる黄金聖闘士達。 涼しい顔で、唯一何を逃れた乙女座シャカとアスミタは同僚を見下ろす。 所用で入室した雑兵が、唖然としたのはその数分後の話。 あとがき すみません。オチ考えてなかった(オイ) 女神が過去の聖闘士に会いたいわん。とか思っちゃったが悲劇。という設定。 エピソードGネタも少々。 しかし、Gのクロノスの性格が良く分からない。 分かった事は一人称ぐらい…。久しぶりに読み返したというのに…。 っていうかこれはどこの項目だ? 一応、小説のところにおいてみたけど…。LCのところに置くには現代の聖闘士が出張ってるし…。 [前へ][次へ] |