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novel
苦労性の双子をもつ兄
 彼の両親は、彼が17歳の時に飛行機事故で亡くなった。が、たっぷりの慰謝料のおかげで、27歳になる現在も身入りの少ない仕事のわりには生活に苦労せずすんでいる。仕事は私立探偵。が、依頼人の人生相談のほうが多いので、カウンセラーに肩書を変えれば?と思春期真っ盛りの双子の弟と妹から言われている。そうかもなあ、と本人も、自宅兼事務所のイスで新聞を読みながら思うらしい。しかし、探偵を頼ってやってくる依頼人たちは皆どこか切実で、ついついほだされて親身になって聞いてしまうのだ。弟と妹は口をそろえて言う。お人よし、と。

 彼のお人よしは、妹の妙な実験の尻拭いにも適用される。家事を任せている料理上手の彼の弟と二人、ご近所に頭を下げたり、警察に謝りに行ったり。知らぬ間に人体実験されることもあるが、強く怒れない甘々な兄なのである。

 でもそんな彼の悩みといえば、あまりに仲良しすぎる弟と妹の将来、というあたり、ごくごく普通のお兄さんでもあるのだ。

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