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novel
清濁の狭間の魔法士・V
 歴代総帥の中でも群を抜く魔力の持ち主である現・魔女総帥、その総帥の"右腕"を自称する男がいる。魔法士V。長い前髪の隙間から見せる目つきは、ひどくやる気がなく、口元は薄く笑んだまま変わらない。およそ"野心"とは縁のない人物と評されている。

 ところが、そんな彼が執着しているのが、現・総帥なのである。決して奥へ立ち入ることができない魔女の森に入ることができ、現・総帥とじかに話をし、気安い口をきく。あまつさえ、厄介事を持ち込んでは、世間嫌いの現・総帥を森から引っ張り出すことさえする。へらへらと調子のいいことも平気で言う。だが時折、ひどく暗い、闇の底のような目をする。そんな時、彼も、悪魔と契約した魔法士なのだと気づかされるのである。

 彼がなぜ魔法士になったのか。永遠に近い命を選んだのか。

 口にはしないが、現・総帥は知っているようであるし、知っているということを彼も知っているようである。

 だからこそ、付きまとっているのかもしれない。


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あきゅろす。
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