novel
純情一途な青年ヤクザ・T
組の年少組の兄貴分、T。
考えるのは苦手。口は悪い。
組に拾われる前は口より先に手が出ていた。
なので喧嘩はすこぶる強い。
本気でブチ切れたら、組長かその一人娘にしか止められないだろう。
そして情に篤い。
ボロボロだった自分を拾ってくれた組長に、
深い深い恩義を感じている。
感情表現は不器用極まりないが、
素直で一途な青年なのである。
それがわかるからだろう、年少組の連中も、
世話をかけられることのほうが多いが彼を慕っている。
短く刈りあげた髪に、剃りあげた眉。細いキツネ目。
両耳の複数あるピアス穴は、
10代前半に開けたものだという。今はほとんどふさがっている。
毎朝ランニングをして鍛えているため、
かなり引き締まった身体つきをしている。
不本意ながら、商店街のオカマバーの人気者。
組長の娘に惚れぬいているが、
本人だけにその想いが伝わっていない。
結構不憫な純情ヤクザな青年なのである。
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