novel
かわいらしいけど裏がある少女・A
ふわふわと
色素の薄い髪を揺らし、駆けていく。
やや丸みのある頬にやわらかな笑みを浮かべ、
同級生や教師らに挨拶をする。
ふわふわ。きらきら。
そんな表現が非常によく似合う少女、A。
人づきあいも成績も、
無難にそつなくこなすことができる。
そして他者に好感を与える術を知っている。
物ごころついた時には自然と身についていたのだから、
彼女の才能といえるだろう。
そんな彼女だからこそ、
問題児扱いされるが類いまれな芯の強さを持つ親友に
惹かれたのかもしれない。
だが間違ってはいけない。
ふわふわした笑顔の下には
けっこう腹黒い計算が隠れているのである。
そしてその計算は、
親友を基準にはじかれるので、かなり容赦がない。
見た目のかわいらしさに騙されて、
ガツンとやられた人間は老若男女問わず多いという。
特に彼女の地雷を踏むと、
メデューサにも負けないくらいの硬度をもつ毒舌を吐くという。
だが頼りがいがあり、面倒見がいいのも事実。
やや計算高いだけの、愛らしい少女なのである。たぶん。
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