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novel
不器用だが芯の強い少女・S
彼女に見つめられると、
引きこまれ心をさらけ出されてしまったような、
恥ずかしさを感じる。
その瞳の中には見透かそうなどという気配は微塵もないのに、だ。
ただ何気なく目があった、それだけなのに。

彼女は、孤立しやすい。

ポニーテールにされた腰まで届く長い黒髪。
シュッと背筋の伸びた立ち姿。
スッと上がった切れ長の目。
鼻の通った整った顔立ち。そして、
深遠な表情が、高校生らしさの感じられない早熟な印象を、
制服を着ていても与える。
そのため、教師たちは彼女の扱い方に戸惑い、
同級生たちは異質なものを見るように遠巻きにする。

彼女はあえて、孤立する。

彼女は、生まれながらに特殊な能力を持っている。
両親を畏怖させ、愛する気持ちを奪った能力。
彼女は、愛されることを諦めている。
でも両親や妹への愛情は不器用な形であるが持っている。
愛する心は捨てていない。彼女の強さ。

そして、自分を慕ってくれる人間への
どこまでも深い親愛の情。

不器用としかいいようのない生き方をしている、10代の少女。

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