novel
謎多き美人女子大生・Ｙ
亜麻色のストレートの髪を、さらさらと風に遊ばせている姿が絵になる。長いまつげの奥に、やわらかい光を帯びた瞳が隠れている。目立つタイプではないけれど、実はかなりの美人。男性が描く、男を立てる控えめな女性像そのもの、といった女性。
きけば女子大生だという。その割には落ち着いた雰囲気で、にこにこっと笑い、隣家で発砲事件があろうがほとんど動じない。実はかなりのつわものか。と思いきや、天然ボケと紙一重の言動がしばしば見られ、隣人たちには"謎の女性"とやや恐れられていたりもする。
隣のビルに住む少女に勉強を教えている。その少女は、ちょっと理由があって学校へ行っていないが、とても明るくしっかりした子で、彼女も少女と話すのを楽しく思っている。少女も姉のように慕っており、自分の歳の離れた昼行燈の兄よりも頼っているような、そうでもないような、そんな感じすらある。
とはいえ。その動じなさっぷりはやはり女子大生とはとても思えず、柔和な笑顔は計算なのか天然なのか、見極め難い女性なのである。
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