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叶わないと知っていても
2



和樹は本当にキレているようだった。
和樹の言う通り、すっぽかされたのは今日が初めてじゃない。
誘っておいて来ないのなんかもう何回目だろう。
すっぽかされると必ず和樹が気づいて家に帰るよう電話してくれる。
じゃなきゃ一日中彼を待っているかもしれないから。
いつも怒っているけど本当は優しい双子の弟。



『早く帰ってこい』



本当に、優しい和樹。
僕は、君に言えない秘密があるんだ。



───彼が好きなのは和樹。



僕よりしっかりしてる和樹。
そんな和樹を好きな彼。
双子なのを利用して彼に近づいたのは僕。
そんな僕を和樹の身代わりとして付き合ってくれた彼。
君の気持ちが僕にないのを知ってて僕は彼と付き合ったんだ。
ごめんね和樹。
僕は自分の立場をわかってるから待っててもツラくないんだ。



…てのは嘘だけど。
本当はツラい、悲しい。
胸が焼けるくらい熱い。
本音を言うと今にでも泣き叫びたいくらいだ。
けどもしかしたら彼が来てくれるかもしれない、そんな希望が僕をここに繋ぎ止める。





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あきゅろす。
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