goodbye boy
3
直の言葉で僕の世界は一瞬で色褪せてしまう。
信じたくなくて、すがる思いで顔を上げると、二人の唇が重なっていた。
恋人である僕さえ、二年経ってもしてもらったことないのに。
───邪魔者は、いつだって僕だった。
行き場のない気持ちに、真っ暗になる想いに、僕は走った。
ついたのは、電車で一時間かかるところに住んでる父の兄の家。
どうやって来たのかわからない。
ただ、家に帰りたくなかった。
「しぐ兄?」
ドアから出てきたのは三歳下の従妹の瑠樹ちゃんだった。
「しぐ兄雨に濡れてる。
お風呂入ろう?」
何も言わない僕に瑠樹ちゃんは手を掴んで家にいれた。
「しぐちゃん?!
傘もささないでどうしたの?
とりあえずお風呂入って温まってね」
そうだ、今日は大雨だった。
叔母さんの言葉に自分の今の姿を思い出した。
お風呂から上がると着替えが用意されていた。
瑠樹ちゃんからは「美味しいよ」と言われホットココアを渡された。
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