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goodbye boy
9



寡黙で無表情な書記の瀬戸口大和も羽津の隣で頷いている。
怒っていた役員達は羽津の言葉に慌てて時雨を見ると彼はもう目をうるうるさせていた。
今にも泣きそうな時雨に彼等は慰める言葉を探す。
最初に動いたのは零士だった。
取り敢えず抱きしめようと腕を広げて駆け寄る。
だが急に走り出した時雨によってそれが叶うことはなかった。
零士は空気を抱きしめるような格好をして止まっている。
出遅れたと思っていた他の役員達も予想外の展開に固まった。



「羽津はやっぱり俺のことよくわかってくれてるな!」



時雨が抱きついた先は羽津だった。
怒られて涙目だったわけではなくただ単純に羽津の優しさに感動しただけで“うるうる”ではなく“キラキラ”だったのだ。
その事実に気づいた役員達は未だ空気を抱きしめる零士に哀れみの視線を送っていた。





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