goodbye boy 入学式 《───ろ、…ぐれ》 誰かが自分を呼ぶ。 「───んっ…」 微かに聞こえてきた声に閉じていた瞼を開く。 カーテンからこぼれる光が朝なのを告げる。 大きく欠伸をするとまたそのまま布団に潜る。 勿論二度寝するつもりだ。 《───起きやがれ時雨! 入学式兼始業式はとっくに始まってるぞ!!!》 耳に入ってきたのは相棒の声。 だがそれは校内放送でだ。 慌てて起き上がると準備をして部屋を出る。 すっかり忘れていた、今日は入学式兼始業式だ。 今頃相棒は額に青筋を浮かべているだろう。 「───あんな夢見たせいだ」 三年前のことを夢で見たから寝坊したんだ。 頭がまだ痛い。 胸がキリキリする。 なんか、起こる気がした。 「生徒会長の藺ヶ崎零士だ。 俺に迷惑だけはかけるな、以上」 [次へ#] [戻る] |