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曲‐メロディー‐に魅せられて
2



彼は真実に辿り着けるだろうか。



険しい顔をしている相良を朔は見つめる。



自分は自分であって自分以外の何者でもない。



その意味が君には理解できるだろうか。



───少しヒントをあげよう。



「相良に会ったのは昨日が初めてじゃないよ」



真っ赤に染まったあの日、独りだけになった自分の前に現れた彼を思い浮かべる。



「俺と、朔が…?」



『新…?』


小さく彼≠フ名前を呟いた、今より幼い彼。



「───三年前に、ね」



キーワードは落とした。



あとはそれを彼が拾えるかだ。



期待を裏切らないでくれよ、若槻相良。



朔はわからない程度にほくそ笑む。



「まぁいつか思い出すよ。
とりあえず保健室行こっか」



唐突にそう言うと朔は相良に背を向けて歩き出した。



重要な話をしていたはずなのにうってかわって明るい声音の彼女に話を逸らされた気がして相良は釈然としなかった。



「もうすぐ誕生日だからプレゼントよろしくねー」



朔が振り返って笑いながら言うから相良も自然と笑みを浮かべてその後ろ姿を追いかける。



彼女の誕生日には何をあげようか考えながら。



だから気づかなかったんだ、彼女が言った本当の意味を───。





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あきゅろす。
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