トリック オア トリート! 今日は現世でいうハローウィン!あれ?ハロウィーンだっけ?ハロウィンだっけ?…まぁ、呼び方はどーでもいいとして、とりあえず10月31日なの!!だから隊員みんなで仮装パーティーでもやろうと思ってたのに…のに……っ!!! 「凛悪いけどこれ頼む」 「あいあいさー」 なんでこんなに忙しいのぉぉぉぉぉ!!!! …嗚呼、それもこれも副隊長のせいだっ!毎日毎日ちょっとずつ書類を隠してたものが今日に限って見つかって。しかも期限が今月中!つまり、31日の今日中に終わらせなきゃいけないの。あーあ、ショックを通り越して笑える。副隊長はバリバリとお煎餅を食べてて、一瞬殺意が芽生えてくる。隊長兼彼氏のひーくんも忙しさのあまり私にかまってくれなくてさみしいぞコノヤロー!! 「……隊長、お腹空きました」 「…あぁ、もうそんな時間か。昼行ってこい」 「隊長は?」 「キリがいいところで適当に食べる。お前はしっかり休んどけ」 「…じゃぁ、お言葉に甘えて」 書類から目もはなさずにいるひーくんに軽くブチ切れ。ちょっとは私を見てくれたっていいじゃない!ひーくんなんて書類の山に埋れてしまえ!!…そうやって心の中で悪態をついて執務室を出て行った。もちろん、ひーくんが私の後ろ姿を見ていたことなんて知らずに。 「トリック オア トリート!」 「おう、桜井じゃねーか。ほら、鯛焼きやるよ」 「ありがとうございます、阿散井副隊長!!」 ちょうど食堂で阿散井副隊長とあった。試しに言ってみたらホカホカの鯛焼きをくださった。(感激!!)お礼に昨日焼いたクッキーをあげたら喜んでくれて自然と笑みが零れた。うん、思ったより元気だ、私。定食をさっと食べてふらふら歩いてると今度は檜佐木副隊長。よ!!って声を掛けてくれたから軽く頭を下げた。そしたらぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。 「わわっ!ぐしゃぐしゃに…っ」 「日番谷隊長のためにセットしたんだっけ?悪かったな、ほれ」 檜佐木副隊長は私にキャンディーを2個くれた。なんで副隊長が持ってるのかって聞いたら、絶対私がお菓子をねだりに来ると思っていて用意してたんだって。(まじで感激!!)他隊の副隊長はみんな優しい!松本副隊長も見習ってほしいよ…。執務作業は全くといっていいほどやってくれないから、隊長のひーくんと三席の私に書類がまわってくる。…あぁ、思い出しただけでため息が…。 檜佐木副隊長とはそこで別れて、そろそろ隊舎にもどらなきゃなぁ、って思って小走りで進んだ。…あ、 「浮竹たいちょーう!!」 「やぁ、桜井じゃないか。今日は日番谷隊長と一緒じゃないのか?」 「自分の身長より高く積み上がった書類と格闘中です」 そう言うと、浮竹隊長は笑って言った。彼らしいな、と。本当にひーくんらしい。だけど、そこが彼の悪いとこ。全部一人で抱え込んでしまう癖がある。もっとまわりを頼ればいいのに……私にもたまに思うの。私達隊員は隊長に頼ればいい。自分より上席の人に頼ればいい。だけど…隊長は誰に頼ればいいの?そうなったとき、私は彼に頼られたい。…でも、彼は頼ってくれない。それがすごく悲しい。 「こらこら、そう暗い顔するな。桜井には笑顔が似合ってるぞ」 浮竹隊長は私の両手を掴んで何かを握らせた。……あ、お菓子だ。 「と、とりっく おあ とりーと…!」 ニコッと笑って言うと、つられるように浮竹隊長も笑った。 「桜井からは笑顔を貰うよ」 あぁ、なんていい人達なんだろう。ありがとうございます。そう言って隊舎へと足を進めた。 「ただいま戻りましたー!」 ……あれ?入れ違いになっちゃったのかなぁ。ひーくんがいない。つまんないのー… 「おい、」 「はひぃぃい!!」 なななな、なんと後ろから…っ!どうやら霊圧を消してたみたい。ひーくんは私の後ろに立っていた。しかもムスッとした顔で!←ここ重要!! 「ひ、ひーくん?」 恐る恐る名前を呼ぶと、彼は"何だ"と返事をした。 「なんか怒ってる…?」 「べつに。俺は心が広いからな。例え俺の彼女が違う男から鯛焼きを貰おうと頭撫でられて飴を貰おうと両手を掴まれてお菓子を貰おうと…そんなの気にしてないからな」 「な…っ見てたの?!」 「お前が切れた口調で出てったからな。心配になって追っかけてみたら……あ、」 あ、もしかして墓穴?これって期待してもいいんだよね?ひーくんは嫉妬してるって思ってもいいんだよね? 「ひーくん!」 「ん?」 「トリック オア トリート!!!」 彼はふっと笑った。 「やるよ。凛の大好きな甘もん」 そう言って、彼は甘いキスを落とした。 ***************************** ど、どうでしたか?? ハロウィンネタです! [*前へ][次へ#] [戻る] |