確かな恋心 ヒロイン上司 彼女ではありません (ギャグ)…ほの甘(?) ---------------- 「私は十番隊隊長の凛だよ!!名字好きじゃないから、凛ちゃん★って呼んでね?」 …俺は、日番谷冬獅郎。先日、十番隊5席に任命されて今日、隊長と面会。十番隊は文武両道で真面目な奴が多くて、その中でも隊長はずば抜けて凄い人だと聞いていた。だけど、何かもう……俺、ここでやっていけるのかと幸先不安になった。 「…日番谷冬獅郎です」 「とーしろう??いい名前だね!!」 「ありがとう、ございます」 何か、敬語を使うのがもの凄く悔しい。だって……この、のほほんとした人が隊長だなんて思えない。さっき、俺が隊首室に入ろうとしたとき"あっつ!!"って声が聞こえて、覗いてみたら……お茶を書類の山にぶっかけてたし。どうやったら書類の山だけにお茶を零せるのだろう。同じ机に置いてあった茶菓子の山には一滴もかかっていない。…ある意味器用な人だよな。 「うーん。本当は君を3席にしたかったんだよね」 「……っは?」 「いやー、君の仕事の出際良さは私達の間では有名だからね!!君を引き抜くのにも苦労したんだよー?」 「は、はあ…」 「けど、急に3席なんて言ったら他の隊員が恨むと思ってね。だから5席で我慢してねー。って、我慢するのは私か」 「え?」 「だってー…冬獅郎が3席になったらサボり放題じゃん!!」 「…(いつの間にか呼び捨て…)隊長がサボっていいんですか、」 「いーのいーの!!うちは副官が優秀だから★」 「そ、そうですか…」 「ところで、何か聞きたいことある?何でもいいよ!マユリの弱点でも、白夜の笑いのつぼでも、私の住所でも何でも♪」 ふわって…綺麗に笑う人だな、と思った。不意に、隊長の背後の窓に雲が早々と流れていくのを見て呟いた。 「何で、空は青いの」 言った瞬間、なんてこと口走ってんだって思った。普通、隊長に何でも聞いてって言われたら隊のこと聞くだろ?!俺の大馬鹿野郎っ 隊長を見ると、一瞬驚いた顔をして顎に手を当てて考え込んだ。…もしかして、やっぱり5席には相応しくないだなんて言われるんじゃ… 「きっと、目の錯覚だよ!!」 「・・・は?」 やべ…。今更だけど、俺って隊長に対して言葉遣い悪いんじゃねーか? 「だって、空は曇ったら灰色になるし、夕日で真っ赤になるし。空が青いとは限らないんじゃない?」 「…………は、はい…」 「てゆーか、君いいね!!!」 ……何が。 俺が首を傾げると、隊長は椅子から立ち上がって俺の目の前に来た。……身長が俺と同じくらいで、驚いた。 「…嘘でした!!」 「え?」 「ほんとはね、君を5席より上にあげるつもりないんだ」 ……どーゆーことだ?やっぱり、俺にはそんな能力… 「だって、それより上になると任務内容が厳しくなるし…。君を危険な任務に行かせたくないんだよね」 「え、」 「実は、霊術院のころから君のこと知ってたんだよね」 「…」 「哀しそうな瞳をしているって思ってた。私がなんとかしてあげたいと思った。だから、君をここに引き入れた」 それは、どーゆー… 「きゃーもうダメっ!!!!この私に緊張感を求めちゃ世も末だよ!!つまり、私は君が好きだってこと!!本当は副隊長になってもおかしくないくらいの君だから、もう私は必要ないんだよねっ!!だっから、無理矢理私の下に置きましたごめんなさい申し訳ないっ」 「え、ちょ、…」 何だ。何なんだ。ここって隊首室だよな…?なんで隊長が出てっちまうんだ?てゆーか… 「す、き……?」 嫌われ者の俺が?……何馬鹿なこと言ってんだよ。 「見つけた…。隊長、言い逃げとか卑怯ですよ」 「うわー…霊圧消したつもりだったのに気付かれるなんてー」 「そんな口調で説得力ないですから。どーせ俺が気付くようにここまでの道に霊圧残したんですよね」 「ばれてらー。御名答。そんな君には残念賞を」 「何で名答なのに残念賞なんですか、」 …って俺、なんでこの人とコントしてんだよ… 「だって、振られるのに景品なんてあげるわけないっしょ」 「…誰が振るんですか、」 「……ごめん耳の調子が悪いみたい」 ………本当に、この人は変わらない。 「昔と変わらないですね。あの時も隊長はそんな感じでした」 「…え、」 「10年前、潤林安に虚が現れた時に会ったこと…いや、俺が一方的に見てただけなんですけど…」 「お、覚えてたの…?」 実は、ついさっきまではっきりとは覚えてなかったけどな。…あれは、10年も前のこと。俺がまだ潤林安のばあちゃんの家に住んでいた時のこと。俺の霊圧に寄って来たたくさんの虚が潤林安を襲った。3人の魂魄が喰われた。みんな怖がってた。そんな中、隊長は恐怖に怯える人達を宥めようと笑っていた。子どもたちとわけ分かんない遊びし出して、いつの間にかみんな笑顔で。あの時、初めて死神の中にもいい人がいるんだと思った。 あの時から、憧れていた。あの、小さいけど大きな…十を背負った隊長に。 「いつか、隊長と同じ立場になってみせます」 「・・・へ?」 「そしたら、俺が隊長を守ります」 「………、」 「だから、もう少しだけ待っててください。追いついて、誰にも非難されないようになったら、隊長に好きだって伝えます」 「…は、恥ずかしーね、///」 前言撤回。隊長は、綺麗に笑うけど……それよりももっと、可愛く笑う人だった。 確かな恋心 (じゃぁ、私はお茶菓子を食べながら待ってるよ) (そんな暇ないくらいすぐに追いつきます) (楽しみにして待ってるね、未来のダーリン!!) ------------- 初日番谷夢でした! [次へ#] [戻る] |