【あいしてるよ】
頭の中が真っ白になる、ってのはこのことだと冷静になって考えられたのは、千景様の真紅の瞳と私の瞳が交わった時だった。
「す、き…?」
「この俺にそう何度も同じことを言わせるのか?」
「あ、えっと、その……冗談、なんかじゃないですよね?」
「そう軽々しく冗談で言える言葉なのか?」
「ち、違います!ただ…信じられなくて」
だって、いつも私が好きって言うと適当にあしらうんだもん。急にそんなこと言われたって、頭が追いつかないよ。
「ほう…。なら、お前のように毎朝“好きだ”と言えば良いのか?それでお前が信じるなら言ってやろう」
夢みたい、ってのは、こーゆーことなんだろうか。…いやいや、夢じゃ嫌だけど。現実であってほしいけど。
「……だって、いつも適当に私のことあしらってるじゃないですか。…本当に、本当に…」
「信じられんなら何度でも言ってやろう。―――――俺は凛を好いている」
「っちか、げ、さまぁ…っ!!!!」
ちゅ、と可愛らしい音を立てて頬に千景様の唇を感じて、涙が重力に従って零れた。
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