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文化祭の季節になった。凛はあれからほぼ毎日任務。逆に棗の任務は減っていった。





「凛!!あんたも特力の出し物やるよね?!」


「……え?あ、ごめん。聞いてなかった」


「んもー!!うちがせっかく話とんのに。凛も特力の出し物やるよね?」


「……裏方ならやるけど…」


「そっか!翼先輩に言うとくわ」


「…ありがと」



凛は日に日に弱っていった。それに気付いているのは、皮肉なことに棗と流架だけ。流架は声をかけてあげたいが、棗から話しかけるな関わるなと言われているため何もできないのだ。


能力別授業は、何度か受けた凛。だが、そこでも蜜柑が中心で、居た堪れなくなりほとんどサボりだ。自由がモットーなクラスなため、誰も咎める人はいないが…蜜柑は不服なようで、毎回授業前になると凛にしつこく来るように言う。そんなやり取りを、棗と流架はただただ見ているだけだった。





そして、文化祭当日――――







「なんでや…」



「何で誰もこーへんの…っ!!!」


そう、特力系のエリアは、場所的に殆どの人がこない場所。例年通り、潜在系や技術系は大繁盛のようだが…。



「ねぇ、蜜柑…」


これからが本番や!!と意気込む蜜柑や翼達に、控え目に話しかけるのは凛。


「ん?なんや、凛」


翼に肩車された蜜柑が凛を見降ろして言った。



「私、裏方って言ったんだけど……この格好、何?」


凛は、蜜柑と同じランプの精の衣装。つまり腹だし。露出を好まない凛は、機嫌の悪そうに言った。



「何って、うちとおそろが嫌なん?めっちゃ似合っとるで?」


「そうそう。可愛いよ、凛ちゃん(蜜柑と違って色気あるし…)」


「…私、裏方ならって言った。これのどこが裏方なの?てゆーか、こんな人の来ないところにいるより、他の能力別エリアの方まで行って宣伝してくればいいじゃない」



「「「「「「………………」」」」」」


凛の発言に、特力系の動きがピタリと止まった。


「え、私なんかマズ「それや!!なんで気付かなかったんやろ!なぁ、翼先輩!」…?」


「そうだな。よし、何人か宣伝に行ってこよう!!ありがとな、凛ちゃん。さすが、"RPGアラジンと魔法のランプ"を思いついた蜜柑の妹だけあるな!」


「ほんまや!」


「(最後の一言余計なんだけど…)どういたしまして」


こうして何人か看板を持って他のエリアへ向かった。



「どうしたのかな?誰もいないのにもりあがって」


「あ、鳴海先生!!!」


そこに、初のお客、鳴海と流架、パーマがきた。パーマが言うには、体質系の一番近くはここしかない…らしいけど、来てくれたことに感謝する一同。


「で、"RPGアラジンと魔法のランプ"ってどーゆーゲームなの?」


「簡単に言うと、挑戦者がアラジンになって迷路に入り、あっちこっちに散らばる俺等特力系の魔人を倒し、ゴールに行くってだけなんだけど…魔人を倒すにあたってルールがあるんだ。一つ目は、相手を暴力で傷付けることは即失格。二つ目は、挑戦者はアリスを使ってもOK。そして、武器はひとつだけ持っていける。その箱から武器を取ってくださーい」


翼がそう言うと、武器BOXと書かれた箱を指さした。3人はそれぞれ武器を取った。……決して、役に立つものとは思えないもので抗議しようとしたが、翼は有無も言わさずゲームの説明を続けた。



「そして三つ目、魔人を倒すためにはその武器と知恵を使って、魔人の出す難問をクリアすることが条件。ではトップバッター、張り切って参りましょう!!」


そう言って、入口に一番近くにいた流架を押し入れた…。







結果、流架・パーマはリタイヤ。鳴海は最終問題までいったが…。最後の相手は蜜柑。鳴海のアリスは無効化の蜜柑には通じず、ゴール目前にして、リタイアとなった。



「見事ゴールした人には、魔法のランプをひとつ選べるんだ。このランプは魔人、つまり特力系の奴のもので、選んだランプの持ち主を奴隷にできるんだ!!奴隷には何でも命令できるぞ!」






みんなの宣伝の甲斐有で、特力系の"RPGアラジンと魔法のランプ"にはいつしか行列が出来ていた。






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