9 放課後、掃除が終わるとナル先生に呼び出された私。能力別クラスは、特別能力系と言われた。それだけの為に呼ばれたのか…って思ったけど、言い返すと後々面倒だと思ったから何も言わなかった。…って、能力別クラスも蜜柑と一緒か…。まぁ、表向きには私の能力は無効化で蜜柑と一緒だからしょうがないんだけど。……どこまでも蜜柑と一緒って、嫌だなぁ…。 そんなことを考えながら、鞄の置いてある教室に戻ると、人影があった。 「誰…?」 「あ、佐倉さん…」 教卓で何かやってたのは、前に教えてもらった副担だった。…何やってんだろ。 「先生、何やってるんですか?」 「アハハハハ…。君はこんな僕のことを先生って呼んでくれるんだね…」 いや、だって先生の名前知らないし。みんなは髪の毛のび太君って言ってるけど。。。可哀相じゃない? 「先生?」 先生は、凄い力を持ってるんだよ? 「…何ですか?」 「この前、本で読んだんです。癌の治療のために髪の毛が抜けた患者がたくさんいるって。その人達の為に、髪を染めたり、パーマをかけないで髪を伸ばして、その伸びた髪を切って寄付する団体があるんです」 「それが…?」 「癌の治療費って高いんでしょう?だから、髪の毛が抜けても、ウィッグを買う余裕がない。そんな人達の為に髪の毛を寄付する団体なんです。分かりますか?先生の髪の伸びるアリスは、その患者の人達にとって救いなんです。先生は、たくさんの人達に必要とされてるんですよ?先生のアリスは、たくさんの人達に役立つんです。だから、そんな弱気にならないでください。先生は、胸を張って歩いていいんですよ」 私の、消すことしかできないアリスより、よっぽど役に立ってるって分かってますか…? 「あ、ありがとう…っ!!!」 先生は涙を滝のように流しながら走っていった。 「…ま、すぐには無理だろうと思うけどね」 けど、いつかみんな分かってくれますよ?先生がどれだけ沢山の人の役に立って、凄くいいアリスを持っているってこと…。 カタン 「え……?」 「凛、いいこと言うじゃん」 「毒舌なだけだと思ってたけどな」 先生のほかには誰もいないと思ってた教室。だけど、1番後ろの席に、棗と流架が頬杖をついて座っていた。 「何でまだいるの…?」 「お前を待ってたんだよ」 「凛、まだセントラルタウンに行ったことないだろ?だから、一緒に行こうと思って…」 あぁ、2人の優しさに思わず涙が出る。……一度でいいから、こんな風に誘われてみたかったの。いつも、蜜柑のおまけだったけど、こうやって私を誘って欲しかったの…。 「ありがと!!」 本当に、ありがとう。 「ほんとごめんね??」 「別にいいって。人少なかったし」 「たまには悪くねーよ」 最初は文房具店。次に、名物のホアロンを買いに。その後は、アクセサリーショップへ行ったり、女の子の好きそうな小物を見たり…。 「けど、女の子しか入らないような所に…ほんとごめん。気遣わなくて…」 「それ以上謝ったら燃やすぞ」 「ごめ…あ、……ありがとね!!」 「(棗…優しくなったな、雰囲気が)もう暗くなったし、そろそろ帰ろう?」 「うん!本当にありがとね、2人とも♪」 [*前へ][次へ#] [戻る] |