5 目が覚めると、空はもう赤くなっていた。…うっわ。初めて授業サボった…。・・・って、うーん。何か視線感じるなぁ… 「おい、」 え、何ですか?何で頭の上から声が…て、 「えっと……何でそんなとこに…」 身軽ですねー。私、木登りなんてしたことないですよ。ビビりですから。 「そんなとこで寝てっと、教師に見つかってどやされるんだよ…」 「あ、だから木の上で隠れてるってわけか」 「……お前、水玉の妹なんだって?」 「あのさ、話す前に下に降りてくれない?首痛い」 「……(呆」 いやいや、そんなため息つかなくても…。こっちは上見て話すの辛いんだからね?…ってか、水玉って…蜜柑のこと? 棗君は、私の隣に座った。隣って言っても、人1人分くらい間をあけて。てゆーか、ほんと身軽だねー。今、木の上から飛び降りたんだよ?普通だったら着地に失敗して足痛めるよねー。 「で、なんだっけ?てゆーか、私君の名前知らない」 「…お前のアリス、本当に無効化か?てゆーか、本当に姉妹なのか?」 「…え、」 早くもばれたの?! てゆーか、私なんかに名前を教える気はないと? しかも、双子拒否発言? 「お前、ひとりごと多すぎんだよ」 ひ と り ご と ? 「お前が出て行った後、俺も授業サボりにここ来たんだよ。ブツブツ何か言いながら考え事してたし…。急に大丈夫、大丈夫って言いだすし。話かけるタイミングねーし」 あぁ、私の馬鹿(涙) ・・・けど、ペルソナは教師にはって言ってたし…この人にだけなら本当のこと言っちゃってもいいかな?名前も知らないけど、この人って何か口固そうだし。 「私、実は消滅のアリス保持者でしたー」 「…消滅?」 「うん。無効化よりも強烈なんだよー。だから、制御装置いっぱい渡された。ピアスも無理矢理付けたし、最悪ー」 けど、痛くなかった。これって、無意識にアリスを発動させてたってことだよね。痛みを消滅させた。うん、我ながら凄い。 「…お前さ、ぶっちゃけ水玉のこと嫌いだろ」 …断定ですか。ってか、何で分かったの?そりゃぁ、嫌いだけど… 「私、態度に出てた?」 出てたんなら、蜜柑も気付くと思うけど… 「水玉が心配してたって言った時、お前目が笑ってなかったんだよ」 「ふーん…そう見えたんだ」 双子が仲良いだなんて、誰が言い出したのかね。 仲良いだなんて、見せかけならどうにでもなるでしょう? 「…あんまり深くは聞かない。だけど……せっかく姉妹がいるんだから、仲良くしろよな」 …貴方に、何が分かるっていうの? 「ねぇ、名前…なんだっけ?」 「…日向棗。棗でいーぜ?」 ………彼も、蜜柑の人生の登場人物なんだね。 「……日向君に、そんなこと言われる筋合いはないから」 「…んだと?」 「何も知らないで、簡単に"仲良く"だなんて言わないでくれない?」 「あ?おい、待てよ…っ」 やっぱり弱い、私は。彼に言い返される前に逃げ出した。……けど、間違ったことを言ったとは思わない。全部の姉妹が…双子が、仲がいいわけない。かならず、どちらかが妥協している。どちらかが我慢している。どちらかが合わせている。…私達の場合、その役目は全部私なんだ。…こんな状態で、仲良くだなんてできるわけない。……私はもう、彼女を恨んでいるんだから。 [*前へ][次へ#] [戻る] |