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「星なしじゃないよ?てゆーか、貴方誰?」


「私は正田スミレ。…妹の方が賢いんじゃない?蜜柑、星階級のこともアリスも知らなかったんだから」


「あんたいちいち煩いねん!!…って、星なしじゃない…?」


「うん。私を家から連れてきた人が、私はスペシャルだって…」


そう言った瞬間、目の前の2人だけじゃなくて、教室にいた人皆がピタリと動きを止めた。



「……?」


うん、わけわかんない。隣の乃木君に助けを求めるように視線を向けると、困ったように言った。



「初等部でスペシャルって、棗しかいないんだ…」


棗??


「別に、驚くことじゃないだろ」


あ、あの人が棗って人か。なーんかあの人だけ空気が違う。あ、分かった。クラスのボス的な人か。



「な、棗君と一緒ですって?!!」


正田って人がこの世の終わり見たいな顔してるし…。何かもう、めんどくさい。



「なぁ凛。さっきから思ってたんやけど……その紙袋の中、何入ってるん?」


あ、忘れてた。ペルソナから貰った資料をナル先生が用意してくれた紙袋に入れてたこと…。早く読みたいな。だって、内容気になるもん。
こんなとこで読んじゃまずい…よね、うん。



「え、凛?どこいくん?」


「ちょっと、ナル先生に話があるから…」


席を立って、後のドアから出ようとすると、棗って人がポツリとつぶやくように言った。



「あいつには気を付けろ…」


「………?」


何て言っていいかわからなくて、チラッと振り返ると、周りの人は誰も聞いていなかったみたい。だから、私は聞こえなかったフリをして教室を出て行った。
















歩きながら資料の入った封筒を見ると学園の地図が入っていて、それを頼りに歩いて着いたのは北の森。近くにあったベンチに座ってもう一度資料の入った封筒をあさった。




「無効化のアリス…。他のアリスを無効化にしてしまうアリス、ねぇ…。





……え、これだけ??」


1枚のプリントを見つけた。それには、アリスの説明と書いてあって…。無効化のアリスの説明はそれしか書いてなかった。…こんなんじゃ、私が無効化のアリスじゃないってばれちゃうんじゃ…。




「逆にこっちは…」


消滅のアリスについて、長々と書いてあった。……小学生が読むのは大変なんじゃない?…まぁ、読めない漢字がないところを考えると、ちょっとは私のこと考えてくれてたのかなぁ、なんて。





「消滅のアリス。…第一に、このアリスは無効化のアリスが変化したものであり、無効化と同じ特性がある」


…じゃぁ、私が無効化のアリスを持ってるのはあながち嘘じゃないってことか。













資料を読んで、分かったこと。

消滅のアリスは強力で、人も消すことができる。

そんな力を持った自分が、怖かった。…でも、この力を必要としてる人がいる。例え、何をしてでも私の力が必要と言ってくれたペルソナに従おう。そう、心に誓った。



何で蜜柑は消えないの?って思ったら、簡単に答えは出た。蜜柑は無効化のアリスを持っているから。




「もし、私がもっと強くなって、その力を上手く使えたら・・・」

そこまで言って、自分の口元に手を当てた。続きを言わないように。…なんて最低な人間なんだ。一瞬でも、蜜柑は消えてくれるのかな、なんて言おうとした自分が恐ろしくて醜い。



「……あ、まだ続きが」



"傷を消す事も痛みをなくすこともできる、治癒の力も兼ねている。しかし、ごく稀にリバウンドを起こしてお前自身にその傷や痛みが吸収されてしまうことがある"


"お前のアリスのタイプは特殊でアリスに寿命はなく、強力でどんなに使っても自分の命を削ることはない。しかし、過度に使用すると急激に疲労感を催し、吐血することもある"


"制御できなくなると、お前は消滅する"




「ってことは、強くなるにはかなりのリスクがあるってことか…」


私って、そんな力持ってたんだね…。


「任務について、か」



任務って、何だろう。簡単にことだったらいいなぁ、なんて。



「中に入っている仮面を持って、今夜9時に北の森入口。誰にも気付かれないように……?」


あぁ、ずっと気になってた封筒に入ってた仮面か。なんだろ、これ…。ね、猫の仮面?え、これは馬鹿にしてるの?それとも真面目に…?ま、まぁ、白猫の仮面は可愛いけど……お祭りでお面買って、頭の後ろにお洒落感覚でつけたりするけど………。





「あー、眠くなってきた…」


考え事すると、面倒になって眠くなるんだよね。…そーやって、いらつくこと誤魔化したりして。こんな性格だから友達もまともに作れないのかな、なんてね。そんなの今更じゃん。今から頑張っても、蜜柑がいる限り……。



「大丈夫、大丈夫」


ペルソナは、私の力を必要としてくれている。だから、私は精一杯それに応える。だから、だから…




「早く、早く夜に…」











そこがきっと、私の居場所。






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