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学園に向かう途中の車でペルソナから教わった。私がさっき、消えかかったのは"アリス"って超能力みたいなのが暴走したから。ペルソナがいなかったら、私は消えていただろう。


「そのネックレスは制御装置だ。さっきはそれだけで落ち着いたが…。次に暴走したときはどうなるかわからない。だからこれを付けろ」


そう言ってペルソナは、たくさんのブレスレットとピアスを渡した。…って、私ピアスなんて…


「耳に穴開けるくらい容易いだろ」


いやいや!!小学生の私がピアスなんて…っ!って反論したら、アリス学園にはピアスの制御装置を付けた人は普通にいるらしい。…私に拒否権はない(涙)



車が信号で止まった時、意を決してピアスを耳に刺した。…そしたら、ペルソナが頭を撫でてくれた。初めての感覚に何だかくすぐったくなって、そしたら急に眠たくなって…私は意識を手放した。











「いい加減に起きろ」


パシッと頭を叩かれて目が覚めた。地味に痛い(涙)…って、ここ何処??


「ここは…」


「学園内だ。迎えの教師がくるから、そいつに従うんだ。お前のアリスは"消滅のアリス"だ。だが、それを言うといろいろと面倒になってしまうからな。嫌だとは思うが、お前のアリスは何だと聞かれたら"無効化のアリス"と答えるんだ」


「消滅のアリス…?無効化のアリス…?」


「…詳しくはこの資料に書いてある。その後の指示もな」


「…わかりました」


少しすると、金髪のナルシストっぽい先生に見えない先生が迎えにきた。そこでペルソナとはお別れ。…ちょっと、寂しかったのは内緒だ。













「初めまして。僕は鳴海だよ。君は?」


「…さ、佐倉凛です」


「佐倉?」


え、もうここで?この人も蜜柑を知ってる人?…蜜柑を知らない人がいいのに。



「佐倉蜜柑の双子の妹です。二卵性なんで、似てないんですけど…」


「そっか。凛ちゃん…よろしくね♪」


先生の"よろしく"に、返事ができなかった。



「…ナル先生?私、何にも持ってきてないんですけど…」


「大丈夫♪学園内にはセントラルタウンっていうところがあって、そこで全部そろえられるよ」


「よかったぁ〜…」



私が安堵の溜息をつくと、ナル先生は"行こっか♪"と言って、私の手を引いて歩き出した。












「か、可愛い…」


あ、私がじゃなくて、この制服が!!ナル先生に連れて行った場所はどっかの空き教室。…ちょっと狭いから、教室って言うと違うかも。ともかく、どっかの部屋に入った私。渡された服に着替えて、置いてあった全身写る鏡を見ると、びっくりびっくり。小学校で制服なんて違和感あるけど、何かここでは初等部って言うらしくて、女の子はみんなこの制服を着てるんだって。それにしても、この制服可愛いなぁ…



「凛ちゃーん??」


あ、着替える為にナル先生を追い出したの忘れてた。(笑)



「着替えましたー」

そう言うと、ドアが開いて先生とご対面。



「…凄く可愛いよ。世界一さっ!!」


…………え?私にどうしろと?何で両手広げて満面の笑みなんですか?


「あっれ〜?てっきり喜んで抱きついてくれると思ってたのに…」


「蜜柑と一緒にしないで下さい。てゆーか、世界一とか胡散臭いです」


ズバッと言う私に、ナル先生は苦笑い。そりゃ、ちょっと抱きつきたいなぁとか、ほんの一瞬だけ思っちゃったけどさ?それじゃミカンと一緒じゃん。…ってゆー、ちょっとした意地を持った私。



「先生悲しいよ」


「私の教室っで、どこですか?」


「(本当に双子なの…?)…凛ちゃんは初等部B組だよ。おめでとう☆蜜柑ちゃんと一緒だよ♪ちょっと大変なクラスかもしれないけど、蜜柑ちゃんがきてからまとまるようになったんだ。君のお姉ちゃんは凄いね♪きっと、みんななら凛ちゃんとすぐに仲良くなってくれると思うよ♪」


まただ…。また、蜜柑。蜜柑がきてからまとまるようになった…。蜜柑が凄いだなんて、知ってるよ。…何で?何で私は蜜柑の作った場所にいなきゃいけないの?ペルソナ、ねぇ、私……




「そーいえば、自分のアリスが何だか知ってる?」


「しょ……確か、無効化のアリスだって聞きました」


「そっか。流石双子だね♪蜜柑ちゃんも無効化のアリスなんだ。まだまだ未熟だけどね」


「…そーですか」



その後、先生に連れられて教室に向かった私。…蜜柑のいる教室。蜜柑の作りあげた環境の中に入る私。そこまで考えて吐き気がして、無理矢理思考を止めた。


ナル先生に、呼んだら入ってきてと言われて教室の前で立ち止まった私。廊下にいても分かるくらい煩い教室。とくに、京都弁丸出しの声が、頭の中でやけに響いていた。


「入ってー」


騒がしい声が聞こえなくなると、ナル先生に呼ばれた。教室に入ってチラッとみんなを見ると、蜜柑と目が合ってしまったのをもの凄く後悔した。


「凛やん!!!!」


蜜柑はそう叫んで立ち上がった。



「佐倉凛です。…よろしくお願いします」



「佐倉って…姉妹?!」


「佐倉が妹か?」


「ちゃうちゃう!うちが姉ちゃんや!な、凛♪」


「う、うん…」


早く席に着きたい。何か、思ったより緊張している。


「はーい、静かに。みんな凛ちゃんと仲良くしてね?席は1番後ろ。じゃ、あとはよろしくお願いしますよ、先生」


え、いたんですか。(酷)

言っちゃ失礼だと思うけど…この先生、大丈夫??ナル先生、もういなくなっちゃったし…席に座ろう。



「よろしくー!!」


「仲良くしてねー」


みんな、声を掛けてくれた。…蜜柑の妹だから?
そうやって、冷めたことしか考えられなくなったのは、最早末期なのだろうか。適当に返事をして席に座ると、隣の綺麗な金髪の子と目が合った。



「俺は乃木流架。よろしく」


「う、うん…」


うっわー…綺麗な子。


「凛!!あんたもアリス持ってたんやな!!うち、凛はどないしてるか心配やったんやで?」


蜜柑がわざわざ私の前の空いてる席に座って話しかけてきた。……心配してた?そんなの、冗談じゃない。誰があんたなんかに心配…



「……?」


ふと、視線を感じた。その方向を見ると、さっきまでマンガを顔に被せて背もたれに寄りかかっていた人が私を見ていた。…何、この感覚。



「凛、どないした?」


「…え?」


「何ぼーっとしてんの?なぁ、凛のアリスって何?」


「…蜜柑と同じ、無効化のアリスだよ」


「ほんま?!やったー!!うちと一緒とか、さすが双子やな♪」


…何がそんなに嬉しいの?



「あーら。じゃあ、その子も星なし?」


…………え、今知らない子に貶された?







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