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1週間前、アリス学園ってゆー…簡単に言うと超天才学園の先生が訪ねてきた。おじーちゃんは、蜜柑が学園に入学したと知ると、大慌てでリュックに荷物をまとめた。


「おじーちゃん、行っちゃうの…?」


「お前は留守番じゃ。困ったことがあったら隣のおばちゃんにでも助けてもらえばよか」


「…うん」



昔から、おじーちゃんは蜜柑溺愛だった。二卵性の似てない双子の妹の私なんて、目に入ってないくらい、蜜柑が大好きだった。だから、蜜柑が家出してからは大変だった。蜜柑、蜜柑ってうわ言ばっかで、私なんていないような扱いだった。思えば、私は何でも蜜柑より下だった。

私がお腹空いたと言えば、おじーちゃんは待ってろって言って、蜜柑がお腹空いたと言えば、すぐに用意して。私が新しい服が欲しいって言ったら、蜜柑のお下がりでいーじゃろって言って、蜜柑が欲しいと言えば、すぐに買いに行った。…私はいつも、お留守番だった。


ねぇ、おじーちゃん。お隣のおばちゃんが、今は旅行中でいないって知ってるでしょ?それとも、それどころじゃないくらい、蜜柑が…

私はどうなってもいいの?―――――って、聞くまでもないよね。



「みーかーんー!!!」


おじいちゃんはそう叫びながら家を出て行った。おじいちゃんは全財産を持って行った。つまり、私は一文無し。家にある食べ物だけで、いつ帰ってくるか分からないおじいちゃんを待たなきゃいけない。…………私って、何なの?



「なくなっちゃえば、いいのに…」



蜜柑がいなくなってから、クラスのみんなは寂しそうだった。頑張って元気づけようとしても、どーにもならなくて…。毎日家に遊びに来ていた子達は、蜜柑がいなくなってから一度も来ていない。私が誘っても、今度ねって言って…。その時気付いた。彼女達は、私の友達じゃない。彼女達は蜜柑の友達なんだって。最初から、私を見てくれた人なんていなかった。



「全部、全部…っ」



きっと…いや、絶対に、私が今どこかへ消えても、誰も気付かないだろう。気付いたとしても、誰も心配しないだろう。…私は、それくらいちっぽけな存在なんだ。






「おい、」


誰もいないはずなのに、頭上から声が降ってきた。…誰?


「誰、ですか?窃盗なら、残念ですね。今、ここは一文無しですよ?」



「違う。…これを付けろ」


…え?何、これ。

目の前に立っていた知らない男の人は、私にネックレスを渡した。



――――――――、




手を伸ばして受け取ろうとしたとき、気付いた。





「…え?手…手が透けて…っ?!」


両手を見ているはずなのに、私の視界に写るのは床。



「早くこれを付けろ」


「え、あ、」


付けた瞬間、ピリっと電流が走った。驚いて目を強く瞑ったけど痛みは一瞬で、ゆっくり目を開くと、はっきりと両手が写った。




「い、今のは…」


「単刀直入に言う。アリス学園に来るんだ」


「え?」


アリス学園って、蜜柑の行ったところだよね?…また、私は蜜柑の影として生きなきゃいけないのかな…?



「俺の名は…ペルソナ。我々にはお前のその力が必要だ」


「力…?必要…?」


「今のままだと、お前は自身の力によって消滅する。少なくとも、学園にいればお前の身の安全は確保できるし、居場所をあげられる。…俺に、ついてこい」



差しのべられた手を、私は戸惑い無く掴んだ。







私の力を必要としてくれるのなら


私の居場所がそこにあるのなら



私は喜んで、全てを受け入れよう










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