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「お前等が人質を殺した瞬間、金は手に入って楽に生きていけるだろうが、その前に俺がお前等を殺す。……後形もなく」




「んだと…?!」




「戸惑いなく殺す。…だが、俺の話に乗ったら、」




「……人質を渡せば、命は保障されるし、贅沢して暮らせる…?」




「あぁ、約束する。だから明後日、早朝に此処へ来い」




冬獅郎の凛とした姿に、疑う余地はなかった。確かに、彼女がいるから自分はこうやって強気でいられる。だが、誤ってでも殺した瞬間、自分の命はない。ならば、と。だったら、倍の金を貰って生命の危機に晒されることなく暮らしたい。単純な男達は冬獅郎の話に乗って、"分かった"と言って、その場を後にした。











「――――っ凛!!!」


男達の気配が遠のくのを確認すると、冬獅郎は一目散に凛に駆け寄った。


「おい、目ぇ覚ませ、凛!!!」


「…………ん、」


ぴくりと動くのを確認して、安堵のため息をついた。
(生きててよかった)
(本当に、よかった…)


冬獅郎は、両肩に2人を担いでその場を後にした。



















「卯ノ花!!」


「何ですか、日番……っ?!!き、緊急手術です!こちらへっ」



冬獅郎はすぐに綜合救護詰所へ向かった。両肩にぐったりとした隊員を担ぐ冬獅郎を見て何事だと騒ぐ者がいたが、いちいち説明してられない。卯ノ花のもとへ連れて行くと、すぐに処置が行われた。


「……(無事でいてくれ、凛)」

病室の前で、祈ることしかできない自分に腹が立った。




「隊長!!!」


騒ぎを聞いた乱菊が、不安でいっぱいの表情で駆け付けた。凛は?!と聞くと、冬獅郎は視線を目の前の病室に向けた。


「外傷が酷いらしい。今緊急の手術中だ」


「そうですか……(凛、戻ってこれてよかったわね…)」
(笑顔とは程遠い顔だけど)
(重症の彼女だけど)
(2人が戻ってきてくれて、よかった)





「急にいなくなって悪かったな、松本」




「んもー!!ほんとですよっ!吃驚しすぎてお酒零しちゃいそうになりましたよっ!」




「……いっそのこと零して後悔し「隊長の机の上に!」……それはよかった。だが、勤務中に酒を飲むなよ」




そう言って、冬獅郎は力無く笑った。
(ありがとう、感謝している)
(心配したってのが、伝わってくるから)



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あきゅろす。
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