8 「あれ…隊長?」 おかしい。隊長は確かにここに1人で残った。きっと、後悔を嘆いているんだろう。最初は1人にしてあげようと思っていたけど…やっぱり、隊長が心配で戻ってきた。(何故か)京楽隊長も一緒に。 私が執務室を出てからそんなにしていないはず。なのに……隊長の姿はなくなっていた。それに、やっぱりおかしい。開けっぱなしの窓に、散らばった書類。几帳面な隊長がこんな………まさか、 「う〜ん……僅かだが、部屋に残っていた桜井ちゃんの霊圧を追っていったんだろうねぇ。…無茶するな、彼も」 「そんな呑気に言ってる場合じゃないですよ!」 「いいんじゃない?僕の勘だけど……すぐに戻ってくるよ。きっと桜井ちゃんと一緒に。だから、とりあえずここを整理しよう。なーに、心配いらないさ」 京楽隊長はそう言って執務室を出て行った。 (彼の勘は、外れたことがない) (だからきっと…) 「んもー…お願いだから、私だけ置いていかないでよね、みんなして…」 置いてかれるって、辛いんだから、 。 (名前は、呼べなかった) (彼と私を繋ぐものは、脆かった) (足りなかった) (だから、彼の思想に気付けなかった) 後悔しても、もう遅い。 (だから、手の届くうちに…) 「さーて、片付け始めるか!!」 (早く、戻ってきてください。そして、) (必ず、2人で帰ってきてください) (一番に、2人の笑顔が見られますように) [*前へ][次へ#] [戻る] |