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執務室に1人でいる私のもとに、初めてみる地獄蝶が飛んできた。…真っ白な地獄蝶。その蝶は、たった一言”仲間になろう”と言って朽ちてしまった。
「……今のは、」
確かに、反逆者…藍染の声だった。―――私が仲間?ありえない。何で私が仲間にならなきゃいけないの?私は別に、世界を欲しようとなんてしてない。ただ、生きていければいいだけ………………?
「…っ」
嘘、嘘、嘘、嘘。
本当は、必要としてほしいんだ。
「凛ー?」
「ギャッ!!……乱菊さん?」
び、びっくりしたー…。さっきの、聞かれてないよね?
「ギャッて何よ。私はお化け〜?」
「あ、いや、そーゆー訳じゃなくて…ちょっと吃驚しただけですよ」
「…そう。それより今日はもう上がっちゃおー!んでもって朝まで私と飲みなさいっ」
「…え、でもまだ…(あんなに大量の書類が…)」
「あんなの隊長にやらせればいいの!副隊長命令よ?!」
「ほ、は、え〜〜〜?!!」
ら、乱菊さん!!お願いですから襟引っ張んないでくださぁ〜い!!!
「んもぉ〜っ!恋次にしゅーへーはまだなのぉ〜?」
「ら、乱菊さんっ落ち着いてください!(てゆーかまだ定時なってないのに…っ)はい、お水…」
「馬鹿ねぇ〜!まだまだ平気よ!それよりマスター!!お酒追加っ!」
「ちょ、それで何杯目ですかっ?!」
「いいのいいのぉ〜♪お勘定はしゅーへーだから」
「え、(だったら遠慮してあげたら…)」
「それより、あんたっ!!」
「は、はい…っ?!」
「うじうじ悩んでないで、隊長に言ったらどうなの?」
「………、」
急に真面目な話になった乱菊さん。お酒を片手にそんな表情が出来るなんて凄い…じゃなくて、
「い、言えませんよ。今は……せっかく雛森副隊長が目を覚ましたんです。側にいてあげたいと思うのが家族でしょう?それに、副隊長は……お慕いしていた藍染隊ちょ…藍染に裏切られた挙句、殺されかけたんです。深い傷を負った今、傍にいるべき人は有能な四番隊員より、幼馴染であり家族でもある冬獅郎でしょう…?」
「納得できないわ!何で凛が我慢しなきゃいけないわけ?!もう…っイライラする!」
「え・・・?」
「私がムカついてるのはあのミニマム隊長だけじゃないのよ?凛、あんたもムカつくの!」
「なっ…」
「私の前でも我慢ばっかして…そんなに頼りないの?!この前みたいに言っちゃいなさいよ!ほら、私はあんたの口から本音を聞きたいのよ、」
「(乱菊さん…っ)…で、ですから、私は……」
私は?…私の本音は…?
「ど、どうしていいか…わかりません…っ!!」
「・・・へ?」
「頭の中、ぐちゃぐちゃで…、」
真っ黒い何かで埋め尽くされそうで、
「本当は、」
分からない、分からない、分からない。
「何も、分からないんです…っ」
(誰か、私に答えを教えて)
(私は、どうしたらいいの?)
自室に帰ると、明日の朝食の準備をしておこうと思って料理を始めた。(明日の朝、きっと寝坊するだろうから)(二日酔いって、ほんと面倒ね)
(なに、これ)
私の前に飛んできたのは、真っ白な蝶。
確かに聞こえた。
" 捕 ま え た "
刹那、急激な眠気に襲われ、意識を手放した。
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