10分、間に合った?
「10分、間に合った?」
馬鹿みたい、と思った。私には理解できない勝利への執着心ってやつ?勝つことにそんなに意味があるの?怪我をしてまで、痛い思いしてまで勝つ意味ってなに?…ほんと、病院に行かなきゃいけない怪我するまで試合続けるなんて、私には到底理解できない。
「10分、間に合った?」
大体、何よその顔!こっちは不安で仕方なかったのに。ガーゼが赤くなってきた瞬間、泣きそうになったのに。それなのに…あんな嬉しそうな顔しちゃってさ!!ああもう、怒鳴りつけたくてしかたないなあ!!…だけどさ、
「え、ちょ、な、何で…!」
安心して、涙が出るのは当然だよね?
「し、心配したんだから、リョーマのばかぁああああ!!」
「ご、ごめんって、」
困らせても、罰は当たらないでしょう?
10分、間に合った?
「大体、10分間に合ってないし」
「えっ?!」
「私のとこにくるのが遅い!」
「…ごめん」
「反省したなら早くくる!」
そう言って私が両手を広げると、リョーマは笑って私を抱きしめた。
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