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12/24 ‐Ryoma‐

12月24日。普通なら昨日から冬休み入りしているのに、今年流行った新型インフルエンザのせいで、冬休みは殆どなくなってしまった。畜生、何で学級閉鎖じゃなくて学年閉鎖・学校閉鎖なんてしたんだ。私達のエンジョイ冬休みを返せ。と、文句を言いつつ登校する私の隣には、彼氏の越前リョーマ。寒い寒いって言って手を擦ってたら、左手を差し出して握ってくれた。ゴツゴツした男の人の手をしたリョーマ。横顔がその手に似合わないくらい可愛くてついつい笑ったら、気持ち悪いと一刀両断されました。ぐすん。



「ねぇ、今日は部活あるの?」


「ない、けど…」


リョーマは言葉を濁した。あれ、何か嫌な予感。







「お祭り好きの先輩達が、クリスマスパーティーしようって言ってた」


因みに強制参加、と言葉を付け足したリョーマは、申し訳なさそうな表情をしていた。本当なら、今日はもう冬休み。だから、午前中からリョーマと一緒にいる予定だった。特にどこかに行くとは決めてなかったけど、午前中はどっちかの家でまったり。午後は夕食の準備でもして、夕方からお出かけ。記念にプリでも撮って、イルミネーションを見に行って、プレゼント渡して…。そんな感じのはずだった。なのに…



「あの空気の読めない先輩達、乾汁飲んでしまえばいい」


「ちょ、凛;」


「そしたらリョーマと2人きりなのにっ」


つーん、って不貞腐れたようにリョーマから顔を背けると、リョーマがピタリと歩くのを止めた。




「リョーマ?」










「俺も、凛と2人きりがいい」


「えっ?!」



リョーマは急に踵を返して走り出した。手を繋いでる私は後ろに引っ張られ、バランスを崩す。




「このままさ、学校に行かなきゃいいだけのことだよね」


「はぁ?!」


リョーマは早足で学校から遠ざかる。近くを歩いている青学生はヒソヒソ私達を見て話していた。え、これって噂になっちゃう系?まぁ、リョーマとの噂ならどーんとこい!だけど…って、そんなこと悠長に考えてる場合じゃないよね、これって!


「リョーマ?」


「ねぇ、今日は俺の誕生日でしょ?だったら、今日1日俺の言うこと聞いてよ、ね?」


「は、はい…」



なんか今日のリョーマ強引だよっ!















「ぎゃああああああっ!」


「(可愛い声で叫んでほしい…)」






「すみませんごめんなさい来ないで来ないでお願いだから出てこないで!」

「(機械のお化けにそんなこと言っても…)」






「うわっはっはっはっはーこの私に怖いものなんでもう何一つないのさー!」

「(普通こんな叫びないでしょ…)」



近くの遊園地に凛を連れてった。少し離れたところにもっと大きな遊園地があるから、殆どの客はそっち。だから、クリスマスイブでもここは空いているってのは知っていた。最初は学校を休んだことを気にしていた凛だったけど、だんだんテンションが上がってきてもう完全に満喫していた。ジェットコースターに乗ったり、お化け屋敷に入ったり…2回目のジェットコースターでは、隣に座ってるこっちが恥ずかしくなるようなことを言っていた。だけど、凛があまりにも楽しそうだら、まあいっか、なんて思っちゃうあたり、俺って凛にベタ惚れなんだなって改めて思った。









「はぁーっ…寒くなってきたねー」


「…ほら、手繋ごう」


「やったーっ」



夕方。昼間っから寒いのに、日が落ちたせいで更に寒くなった。息を吹きかけて手を温めようとする凛が可愛くてじっと見てたけど、そのままじゃ可哀相だったから手を差し出した。凛の手はすっごい冷たかった。



「ねぇ、リョーマっ!あれ最後に乗りたいなー」


「…いいよ。並ぼっか」


凛が指さしたのは、定番の観覧車。もうライトアップされていて、凛はそれに見惚れていた。










「なんかさ、1日ってこんなに早く終わっちゃうんだねー」


「そんなに楽しかった?」


「うん!リョーマは楽しくなかった?」


「楽しい、ってゆーか面白かった?特に凛がジェットコースター乗ってる時の叫び声とか」


ニヤッと笑って言うと、恥ずかしそうに凛は両手で顔を隠した。そーゆー仕草が俺の加虐心に火をつけるって分かってないよね。


「そんなにいじめて欲し「は、恥ずかしいから何も言わないでっ!」…」





「…そんな顔隠してないで外見てみなよ。イルミネーション綺麗だよ?」



凛の顔が見たくて、凛の手に俺の手を重ねて顔から放した。チラッと景色を見た凛は、さっきの恥ずかしさをもう忘れたらしい。窓にへばり付くようにイルミネーションに魅入った。



「なんかさ、今日はリョーマの誕生日なのに、私何もしてないね」


「俺的には、十分なんだけどね」


凛のこと、いっぱい振り回せて楽しかった。そう続けて言うと、凛は"よかった"と言って照れたように笑った。あーもう、何でこんなに可愛いかな…



「…あのね、リョーマ?その…」


「ん?」


「その、プレゼントなんだけど…家に置いてきちゃって…ごめんね?」


「そんなのいーって。俺、ベタだけどさ、凛が隣にいてくれるだけで嬉しいから」


だけどさ、一番高いとこに近付いてきたとき、思いついちゃったんだよね。



「プレゼントないんだったら、ここで凛からキスしてよ」

「ふぇっ?!!」


急な提案に驚いて目を丸くした凛。


「ほら、いっつも俺からでしょ?だから…ね、凛」


「リョーマってば…///」


ちょっと甘えた声を出したら、凛はいつも顔を赤くして言うこと聞いてくれるんだ。












「誕生日おめでとう、リョーマ」


そう言って唇を塞がれた俺は、きっと世界一幸せ者なんだとか、似合わないことを思った。










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誕生日に彼女を独占するリョーマ君を書きたかったわけですが…。
12歳を過ぎてから、中学生の恋愛傾向が分からなくなってしまった自分が残念で仕方ないです、はい。



  Ryoma Echizen
Happy birthday&Merry Xmas!!


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