成就済み
ほのぼの
年上彼女設定
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「寒いねー」
「うん…けど、こうしてれば暖かいでしょ?」
「うん…リョーマ君かぁーっくいぃー!」
「煩いよ、凛」
「うはー…リョーマ君が照れてるっ!シャッターチャンスだー」
あっっつい夏が終わって、さっっむい冬がやってきた。マフラーをぐるぐる巻きにした私は、リョーマ君と一緒に神社に来てる。受験生の私に、リョーマ君が学業成就のお守りを買ってくれるって言ってくれたからね。
寒いって言うと、リョーマ君はさり気なく私の手を握ってくれた。リョーマ君の手は凄い暖かくて、触れてる手だけじゃなくて心まで暖かくなってくる。照れたリョーマ君が可愛くて、思わず私の顔が綻ぶ。ふふふって笑ってると、リョーマ君がキモいとか呟いたのが聞えた。けど、許してあげよう。今の私は心が広いのだ。
「種類いっぱいあるねー」
「学業はこれしかないでしょ。あんたどこ見てるわけ?」
「ちょっとちょっとー、年上に向かって"あんた"とは何よー」
「実年齢じゃ凛のが上だけど、精神年齢は絶対俺より下だと思うんだけど」
「うっ…リョーマ君がちょっと大人っぽいだけだもんね!」
そうだそうだ。私がガキみたいなんじゃなくて、リョーマ君が大人っぽいだけなんだ。うん、私はいたって普通な中学3年生。
「なーにぶつぶつ言ってんの?ほら、これでいいよね?」
おっとっと。私達はお守りを買いに来てたんだ。リョーマ君の手には、学業成就と書かれたシンプルなお守り。お目当てのものだ。
「うん、それで……」
いいよ、と言おうとしたけど、言葉が詰まった。私の視線は、淡い桃色のお守りで止まってしまった。
「駄目なの?……って、あんたも一応女だもんね」
「こらこら。一応は余計だぞー」
恋愛成就、と書かれたお守りに見入ってしまった。他の並んでるお守りとは違って、可愛い、ダントツで。数も残りわずかだから、結構売れてるんだなー、なんて。
「…ばか」
「え?」
じっと見てたら、リョーマ君に小突かれた。しかもバカって。私の今の行動にバカってのは当てはまらないよね?
「ほら、行くよ」
「あ、ちょ、リョーマ君!」
リョーマ君はさっさとお守りを買って歩きだしてしまった。置いてかれるなんてやだって!寒いって!
「リョーマ君?」
「あんた、馬鹿」
「いやいやちょっと待ってよリョーマ君。確かに子供っぽいかもしれないけどさ、馬鹿要素はないと思うけど」
「…まぁあ、そういうところも可愛いけどさ」
「あの、何が言いたいのかさっぱり分からないんですけどー」
くそう。可愛いなんて照れるじゃないか。先に行ってしまったリョーマ君。だけど、今は私の歩くペースに合わせてくれる。ああもう、リョーマ君がよく分からないよ。
「あんなの、いらないでしょ?もう成就してんじゃん」
リョーマ君は、そう言ってまた手を握ってくれた。…あぁ、そーゆーことか。
「あんなの買って、俺以外の誰かとの恋愛成就なんて、許さないから」
「…えへへ、うん、そうだよね、」
嬉しくてどうしよう、どうしよう。私にはこれで十分なんだ。ぎゅっと隣で手を握ってくれるリョーマ君がいれば、もういいんだ。これで、恋愛成就してるんだ。これ以上、何があるっていうんだろう。
「冷えてきたね。早く帰ろうか」
「うん、今日はありがとね!」
「今日も、の間違えじゃない?」
「うん、昨日も今日も、明日もずーっと、ね!」
「…意味分かんない」
今日もありがとう。そう言えるのは、昨日の2人がいるからなんだよ。こんなこと言ったら、リョーマ君は馬鹿じゃないの?って笑うよね、きっと。だから言ってあげない!
「リョーマ君、大好きだよ!」
「…俺の方が、好きだよ」
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ほの甘を目指した結果です。
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