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軌跡
越前リョーマに言われたいセリフ!より


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1年の越前リョーマ君の告白を断った。
あの日、日誌を書くために1人で教室に残っていた私。教室のドアが開いた時には、誰かが忘れ物を取りに来たのかな、と思って顔は上げないでいた。そしたら…


「ねぇ、凛、先輩?」


「え?……誰?」


見上げたら、白いキャップを被った人。格好を見てテニス部だと分かった。レギュラージャージを着てる彼は、小柄だ。いや、隣の席の桃が大きいだけ?…あ、そっか。この子が桃がよく話す越前リョーマ君か。ていうか、何で私の名前知ってるんだろ。しかも、下の名前で呼んだよ、この子。




「越前リョーマ君?桃なら部活に行ったけど?」



「桃先輩は関係ない」



「じゃぁ…」



「凛先輩」



「はい?」










「好き…ねぇ、俺と付き合って……、ください」



真剣な眼差しに、吸い込まれそうになった。……だけど、私には、



「ごめんなさい」





「やだ。アイツから奪うから…あんたの心も、身体も。覚悟しといてね」



私には、カズ君がいる。幼馴染で、バスケ部のエースの彼氏が。
っていうか、ごめんなさいって言ったのに"やだ"って何?!アイツから奪うって言ったってことは、私とカズ君が付き合ってるってのを知ってるということ。何で知ってるのにそんなこと言うの?
越前リョーマ君は、言い逃げした。…どうしよう。そんな思いでいっぱいになった、告白された日。





それから3日後のこと。
放課後、窓の外が騒がしかったから覗いてみた。そしたら、カズ君がフリースローを打っていた。うん、やっぱりバスケをしているカズ君はカッコいい。私の幼馴染で、ちょっと偉そうで、私に優しい大切な彼氏だと改めて感じた。窓からは遠くて見にくかったから、教室を飛び出してカズ君の元へ走って行った。…そしたら、



「バスケ部2年と、謎の1年がフリースロー対決やってるらしいぜ!」



カズ君と越前リョーマ君が、フリースロー対決をしていた。近くにいた1年に話を聞いてみると、カズ君が1年に絡んだらしい。カズ君って、年下に厳しいもんね。彼の悪い癖で、私が嫌いな彼の一部だ。
越前リョーマ君は凄い。ホウキで小さいテニスボールを確実にゴールに入れている。カズ君も相変わらず凄い。さすがエース。私の彼氏。………だけど、




"カズ君、頑張って"




その一言が、言えなかった。私の目は、越前リョーマ君しか写していなかった。彼を見て、ときめいた自分を疑った。私はカズ君の彼女なのに。…カズ君とどう接したらいいのか分からなくなった日。








そして、私はカズ君と別れた。理由は簡単。私が彼、越前リョーマ君とカズ君の間で揺れていたせい。そして、カズ君もまた、私とクラスメイトの子の間で揺れていたから。お互い、幼馴染の延長線で付き合っていただけ。別れるのはすごい簡単だった。そのことが、少し寂しかった。




「…やっぱり。早く俺のものになってればよかったのに。…でさ、あの時の返事、撤回してくれない?」


「うん、でも……軽い女だと思わない?今まで付き合ってた彼氏と別れた日に、別の人と付きうなんて」


「そうやって考えられるなら、軽い女じゃないよ」


そう言って笑った彼に、また胸が高鳴った。だから思わず彼の前から逃走したあの日。










それから暫く経った。呼んでもないのに、彼は休み時間に必ず私のクラスにくる。でもって、毎回最初に"好き"だなんて言う。私も好きだよ。そう言いたい。だけど、やっぱりさ、






「…まだ撤回してあげない!」



「は?」



「ここで"私も好き"って言ったら、リョーマ君の思うつぼだもん!なんか悔しいじゃん!」



「ふざけたこと言わないでよ。さっさと俺のになっちゃえばいいのに。そしたら俺以外の男に"好きです"ってコクられることもなくなるし」



「あら、覗き見でもしてたの?」



「覗き見?そんなのするわけないじゃん。大体、屋上で告白なんてベタだよね。俺の絶好のサボり場所で告白した奴が悪い。俺の告白になかなか首を縦に振らないあんたも悪い」



「わ、私がどこで何しようとリョーマ君に関係ないでしょっ!てゆーかさ、私一応先輩なんだけど!リョーマ君が敬語で私に話しかけたの、コクられた時だけなんだけど!礼儀がなってないお子ちゃまは嫌い!」



「あのね、敬語ってのは敬う相手に対して遣う言葉遣いなわけ。分かる?凛先輩のどこに敬うべき所があるの?」



「私の全てを敬いなさいよ!」



「あー…どこをどう敬えばいいのかじっくり見ても分からない見つからない」



「そ、そこまで否定することないでしょー!私でも分かんないけどさ」



って、必ず言い合いをする。でもって、必ず桃が私達を止めようとするの。






「おいおい、越前に桜井。さっさと付き合っちまえよ。毎回俺には痴話喧嘩にしか見えねーぜ」



「桃先輩よく分かってるね」



「だから、このまま付き合うのは悔しいの!話聞いてないの、桃?それに付き合ってないから痴話喧嘩じゃないよ!」



「ねえ、桃先輩の言うとおり付き合っちゃおうよ」



「なによ、その"コンビニでも行こうよ"的なノリ!私そんなんノリで付き合いたくない!」



「じゃぁどうしたら付き合ってくれるわけ?あ、もしかして既成事実で強行突破?へー、先輩ってそっちの方がいいんだ」



「き、既成事実ってっ!」



「言ったでしょ?心も体も奪うって。…ね?せ・ん・ぱ・い」



「バ、バカ…っ!///」







「「「教室でラブってんじゃねーよ!!!」」」




クラスみんなの声が揃うと、授業開始のチャイムが鳴る。これが、最近の私の日常生活。




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ラブラブな空気が書けなくて、あえてクラスメイトに言わせてラブ度表現してみました。(焦


最近寒いですよね。だからか、よく手を繋いで歩くカップルを見ます。私は必ず思います。ラブってんじゃねーよ!こっちは心まで寒いよ畜生!…(笑)

因みに、この2人は暫くこんなのが続きます。だけど、いつの間にか付き合っています。それでも、2人は休み時間になると必ず痴話喧嘩をします。喧嘩するほど仲がいいって言いますよね!


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