[携帯モード] [URL送信]
言いたいけど言えない!
越前リョーマに言われたいセリフ!より

----------------------





どうも。青春学園中等部1年2組堀尾聡史、テニス歴2年だ。俺のライバルはもちろん越前。同じ1年なんだから、いつかあいつを越えてやるぜ!
だけどたまに…たまーに、ごくまれに、あいつは大人びた奴だから勝てないと思うことがある。これをカチローやカツオに言うと、"カッコいいよね、リョーマ君!"って騒いでムカつくから話はしない。例えば、あれは1ヵ月くらい前のこと。




休日の部活が午前中で終わったあと、一度帰宅した俺達はまた集まって、ガットの貼り替えに行った。俺とカチロー・カツオの3人は、ガットの張り替えが終わった後に練習するつもりだった。だけど、カチローが"リョーマ君にオススメの場所教えてもらいたい"とか言い出して。用事があるらしい越前を強引に誘った俺達は、越前の格好を見て驚いた。
ホスト、というか、なんというか…美容室にいそうな人。白と黒で統一された服装は、ガキ丸出しな俺達の中では浮いて見える。身長は俺と同じくらいなはずなのに、隣に立つと越前は俺よりも高く見える。履いてる靴のせいか?例えて言うから、不二先輩がしそうな格好だ。
ともかく、Tシャツにカーゴパンツっていうラフな格好の俺達にくらべて、越前は別格だった。中学生の弟の引率者の兄貴。まさにそんな感じだった。誰かと会う約束でもしてたのか?
ともかく、大人びた越前。越前とすれ違うたびに女子高生が振り向いて、なんかショックだ。



「リョーマ君って大人だよね」



「…そう見えてんならそうなんじゃん?」



「そーゆー冷めた感じがモテる秘訣か、越前!」



「さーね。……あそこのラーメン屋のとこ曲がった正面にあるから。俺の名前か竜崎先生の名前出せば少しくらい安くしてくれると思う」



「え、リョーマ君もう帰っちゃうの?」



「あー…まぁ、うん」



越前が腕時計を見て時間を確認した。その時に見えた腕時計はシンプルなシルバーで、高級感があったのを、俺達はぼーっと見ていた。



『excuse me! I have a question for you. Are you familiar with this area?』

(すみません!お尋ねしたいことがあるのですが。この辺に詳しいですか?)


そしたら、突然声を掛けられて。地図を片手に持った外国人が立っていた。塾の先生より早い喋りに俺はもちろん、英語を習い始めてからまだ数ヶ月しか経ってないカチローとカツオはあたふた。げ、どーしようって思ってると…。



『How did you do?』

(どうしたの?)



『I'd like to go to the station Please show the way.』

(駅に行きたいんです。道を教えてください)



越前は当たり前のように英語で話を進めた。俺達に声を掛けた外国人は、すげー嬉しそうに越前の話を聞いていて。"Your English is very good! Thanks you !"と叫んで走ってった。それだけは聞こえたぜ!なんてったって、英会話教室通ってたんだからな!




「おいおい、一体何話してたんだ?」


「道聞かれただけ。あれくらい、ヒーリングやってれば分かるでしょ」


「いやいや、分かんねえから!」


「さすがリョーマ君!僕、感激しちゃったよ!」


「あれくらいで…じゃ、俺もう行くから」



越前はそう言って走ってった。本当に急いでるみたいで、あいつはタクシーに乗ってったみたいだ。中1でタクシー普通にとめるなよ!って思った。そうそう、それと…










「なー、越前?」


「ん?」


「お前、よくあるのか?」


「何が?」


「何がって…逆ナンに決まってんだろ?!」


「さあ?…向こうは大体興味本位なんだから、適当にあしらっとけばいいじゃん」


「適当にって…」



昨日は、ほんとうに驚いた。越前を振り向く人はいても、声を掛ける人は見た事なかったから。この日は、女子高生4人組に声を掛けられた。越前は呼び止められると、2,3言話してまた歩き出した。慣れた様子だから、一緒にいて慌てる俺達が馬鹿みたいに思えた。

だけど。俺は、もっともっと大人な越前を見た。これは絶対に誰にも言わない。ネタになるけど、俺の口からは言えねえって!口に出すだけでも恥ずかしいくらいのセリフを、あいつはすんなり言いやがったんだ。








教室に英語のノートを置き忘れた俺は、部活が終わった後に教室に向かった。宿題忘れたら煩いんだよな、あの先生。
教室のドアに手を伸ばした時、中から話声が聞えて咄嗟に手を引っ込めた。






「遅くなってごめん。後片付けが長引いたんだ」


「こっからコート見えるから分かってる。お疲れ、リョーマ」


「ほんとごめん。……寒かったよね。ヒーター付ければよかったのに」


「大丈夫!リョーマを見てるとね、暖かくなるんだよ」



教室にいたのは、越前と桜井さん。高嶺の花と言われる桜井さんと2人きりで何話してんだよ!って、殴りこもうとした俺。だけど、2人を見ててすぐ気付いた。あの2人、絶対付き合ってる。ネタをゲットした俺は、もっと話題になることがないかって思って、耳をドアに押し付けた。





「寒いなら、抱きしめて欲しいって素直に言えば?…いつもなら、凛から抱きついてくるのに」



「そ、それは、その…………あ、あのさ!桜乃ちゃんと何話してたの?」




「え?」




「さっき、コートの隅で……桜乃ちゃんと、2人きりだったよね?堀尾君達いなくて、その、」



「嫉妬した?あ、だから抱きついてこないんだ?」



「ち、違いますっ」




「ばーか!」




越前が笑ったような気がした。ドアを少し開けて覗くと、越前は桜井さんをだ、だ、だ、抱きしめて…っ!





「俺には凛 しかいないの。凛以外は無理だから、何をするにも…。だから、不安にならないで?」




「……うん、そうだよね」



その後、教室には物音ひとつしなくなった。キ、キ、キ、キスしやがった、越前の奴!!!!



この日、俺は教室に入れることができなくて、次の日英語の先生に怒られた。越前のせいだ、ちくしょー!!





-----------------

※少し投稿していただいたセリフを修正しましたorz

堀尾の言葉遣いが難しいことに気付くのが遅かった(笑)
書き上げてから、"あれ、堀尾ってこんな口調だったっけ?"って思って漫画読み返してみたら、"あ、失敗したかも"って思いましたorz


←前次→

65/79ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!