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泣き虫彼女
越前リョーマに言われてみたいセリフ!より

アニメ
第19話 傷だらけのリョーマ
第20話 タイムリミット沿い
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「ああもう、ばか凛〜!何でこんな日に限って寝坊なんてしちゃうの?!」




今日は、男子テニス部の地区予選決勝戦。リョーマのシングルス戦デビューの日だ。だが、こんな日に限ってリョーマの彼女である凛は寝坊。急いで身支度を済ませて家を出る頃には、青学対不動峰戦は始まっていた。




「あの、青学対不動峰戦ってどこでやってますか?!」


「え、あっちのコートですけど…」


「ありがとうございます!!」


会場へ着くと、真っ先に目に入った人に声を掛けて場所を聞いた凛。その時の彼女の表情は鬼のようだったとか。















「って、何がどうなってるの…?」


4-1となり、リョーマがリードした頃。リョーマの動きがおかしくなったのだ。一瞬動きが止まって綺麗に横を抜かれるリョーマに、彼女は眉間に皺を寄せた。



「頑張って、リョーマ…っ!」


テニスの知識はある程度あるので、ゲームの邪魔にならないように呟いた。お願い、頑張って。たくさん練習したんだから、負けないで。いつもみたいに、"まだまだだね"って笑って言えるくらい余裕で勝ってよね。彼女は願うように両手を顔の前で組んでリョーマの試合を見ていた。











「きゃっ………リョーマ!!!!」





それは、一瞬の出来事だった。リョーマがラケットを強引に振ると、そのまま勢いよくラケットは手からすり抜け、ポールに当たり…




「血が…、」



ラケットは折れ、跳ね返ったそれがリョーマに直撃。ポタポタと傷口を抑えるリョーマの手から零れる血は鮮明で、それを見た凛はへたりと座り込んだ。血液恐怖症なのだ。頭が真っ白になり、目の前が歪んでいく。隣にいたカチロー君の焦る声が聞えた。





「リョーマ君!!」



バタバタと駆けだす音。見上げると、桜乃ちゃんがリボンをとってリョーマに駆け寄っていた。ゲーム中に選手以外の人がコートに入るのは、いけないことなのに。





「リョーマ君、大丈夫?!」


「…コートに入ってくるな」




2人の会話が微かに耳に届く。すっごく心配した声の桜乃ちゃん。………彼女を、ほんの少し恨めしく思えた。私は知識がある。だからこそリョーマに駆け寄ることなんてできないし、第一血液恐怖症の私は、今のリョーマを直視することができない。この場で腰を抜かしてる自分が、凄く惨めに思えた。





「とにかく止血だ」



戻ってきた桜乃ちゃんは、俯いて今にも泣きそうだ。それほどひどい怪我なのだろう。…ねぇ、知らないよ。テニスでどうしてそんな酷い怪我をするの?…どうして、まだ試合を続けようとするの?






「リョーマ……っ」




彼の名前を呼ぶことしかできない。彼を見ることが出来ない。目の前が、真っ白だ。













「――――凛」





「え…?」



「10分…後10分で試合が終わるから、それまで待ってて」


不意に呼ばれた名前に顔を上げれば、FILAの帽子が視界に入った。フェンス越しに、リョーマが立っていた。私が血液恐怖症だと知っているリョーマは、わざと隠してくれたんだ。待ってて、と言う声はとても優しくて。



「っが、頑張って、リョーマ!」


「当然。あんたに負ける姿なんてかっこ悪いの、見られたくないしね」


帽子越しに不敵に笑ったのが分かった。あぁ、いつものリョーマだ。






試合が、再開した。
















「リョーマのバカ、バカ、大バカ!」


「…ごめん」


「本当に心配したんだから。すっごくすっごく心配したんだから!」


「うん、ごめん」


「すっごく怖くて、腰、抜けちゃって、目の前、真っ白、になって…っ!」


「ごめん、凛」


閉会式を終えると、リョーマは凛に駆け寄った。心配したんだと、最初は怒っていた凛。だが、だんだん安心感からか涙が溢れ、言葉が途切れ途切れになってしまった。そんな彼女にリョーマは焦り、何度も"ごめん"と言って彼女の溢れる涙を拭っていた。





「嫌い…大嫌い…っ」



「え、」



「リョーマが怪我したのに、私、何もできなかった…っ!桜乃ちゃんみたいに、できなかった…っ!私、リョーマの事好きだよ…だけど、だけど、」



桜乃が羨ましかった。何も知らないが故にリョーマに駆け寄り、不安や心配を行動に起こした。プレイヤーにとって侮辱になるそれだが、あんなことをしてしまうほど心配していたのだ。自分にはそんなことできない。彼女に出来て自分にできなかった。ただ腰を抜かすだけの自分が、大嫌いになった。



「バカはあんただよ…」



リョーマは凛の頬に両手を当て、自分と視線を合わせた。ため息混じりに言われた言葉に呆れられたと思い、また更に涙が溢れる凛。








「竜崎なんか関係ない…俺はあんたが好き。だからさ、俺が好きな凛を"嫌い"なんて言わないで、ね?」






やっぱり、涙は止まらない。
頬に触れるリョーマの手が暖かくて優しくて。




「リョ、リョーマの、ばかぁ……っ泣かせ、ないでよねっ!」



「泣かせるつもりはないんだけど…」






嬉しくて嬉しくて。涙の止まらない凛に、リョーマは困ったように笑った。











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リョーマの"困ったように笑う"笑顔が一番好きな私は変態かも(笑)

この表現、よく使ってる気が…
文章力のなさorz


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