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部活動事情 中篇

ああ、めんどくさい。
本当は凛と一緒に行くはずだったのに、宿題を机に置き忘れたからとかで1人で先に行ったんだ。起こしてくれれば一緒に行ったのにさ?今朝は本当に不愉快だ。ここ数年毎日欠かさず朝一番の声は凛の声なのにさ?何が悲しくて親父に叩き起こされなくちゃいけないんだ。ほんと、腹立つ。
これだけでも俺にとっては最大と言ってもいいくらい苛立つのに、今現在、それ以上の苛立ちの原因が目の前にいる。





「ねぇ、リョーマ様ぁ?」


「……何」


「何って、話聞いてくださいよぉ〜!私、テニス始めようと思ってるんです!それで―――」



面倒になって、右から左に聞き流した。
そう、苛立ちの原因は小坂田…と、竜崎。テニス部員なのにド下手。努力は認めるけど、絶対竜崎に合ってない。なのに一生懸命やってるから、テニス止めた方がいいんじゃない?なんて言えない。…だるい。ともかく、この2人が足止めするせいで下駄箱の前で立ったままだ。早く凛に会いたいのに。てゆーか、小坂田朝っぱらから元気だね、ほんと。煩いくらいに。

今まで、この2人は好きじゃなかった。凛との会話の邪魔ばっかするし。偶然を装って凛とのデートで会って、そのたびに後付いてくるし。好きじゃないけど嫌いってほどでもない。前まではそうだったのに、今じゃ"キライ"のリストに載ってるよ。凄いと思う。ここまで人を嫌ったの初めてってくらい。凛との時間を邪魔するなんて、ほんといい度胸してるよね。……それにしても、うざい。






「ねぇ、そろそろ教室行きたいんだけど」



「えー?じゃぁ、一緒行きましょう!ね、桜乃っ」



「へっ?う、うん…」



「俺が凛と付き合ってるって知ってるよね?なのに何でいつも付きまとうの?」




回りくどいのは嫌い。だから単刀直入に聞いてみた。そしたら、小坂田と竜崎は目を見開いていた。竜崎のこんな表情、初めてみたかも。なんて、悠長に考えてたら。






「リョ、リョーマ様酷い――――!!」





おいおい、そんな叫ぶなよ。周りの人に絶対勘違いされてるよ。小坂田は叫びながら走ってった。……竜崎を置いて。



「……あんたは行かなくていいの?」


「え?何で?」




意外だった。いつも小坂田とセットみたいに一緒にいるから、後を追いかけるかと思った。だけど、目の前の竜崎は、ケロッとした表情で俺を見ていた。……あれ?なんだ?




「教室行こう?ほら、凛ちゃんが待ってるんじゃないの?」




「あ、ああ…うん」




なんか、すごい違和感。竜崎がいつもと違う人に見えたのは何でだ?疑問に思っていたけど、早く凛に会いたい俺は、すぐに考えるのを止めていた。

















最近、かなり面倒なことになってる。朋ちゃんはリョーマ君とあの子に何の計画もなく近付くもんだから、リョーマ君は私と朋ちゃんを嫌ってきてる。最初は話しかけた時にはちゃんと返事をしてくれたのに、今じゃめんどくさそうに私達を見てくる。…朋ちゃんって、ほんと無謀だわ。せっかく"健気にテニスを頑張る女の子"を演じてたのに。そしたらリョーマ君は面倒だと思いながらもテニスを教えてくれるって分かってたから。教えてもらううちに仲良くなって……って予定だったのに。あの子は計算外だったわ。…これからどうしよう。朋ちゃんはもう使えないかもな。なんか、テニス部のレギュラーの人達の視線が厳しくなってきてるし…。ここは、一時休戦したほうがいいかな?



「ね、何してんの?」



「…え?あ、ごめんなさい!」



そう、私はこんなリョーマ君に惚れたの。面倒だって思ってても、ちゃんと私に構ってくれるから。置いてかないで、ちゃんと待っててくれるから。……だから、絶対にリョーマ君は私のものにするの!

















「なんてこった…っ!」


私の名前は桜井凛。自他共に認める一般人。でもって、クラスNo.1の大人しい人、だと思う。ゲームで例えるなら村人A。テストは常に平均。足も並みの早さだし、これといって特技なんてない。あえて言うなら、平凡グランプリなんてあれば、絶対に優勝できる自信があるくらい。とまぁ、長々と自己紹介するまでもない私です。つい最近、こんな私でも絶体絶命のなんとかってのを体験しました。

あれは、リョーマ君(付き合ってからも、恥ずかしくて呼び捨てできない)と一緒に登校した日。リョーマ君が朝練に遅刻しないように一緒に登校した時のことだった。教室に入ったら、竜崎さんと小坂田さんがものすっごい怖い顔して私を見下ろしてた。うん、身長が低いことをここまで呪ったことはないよね。2人の威圧感ってのが半端なくて、心の中でひぃっ!って叫んでたよ。自分のキャラが崩壊した瞬間だったね。やばいよやばいよー的な状況になって、若干パニクってたら王子様登場。リョーマ君が教室に入ってきた。なんでも、顧問に出さなきゃいけないプリントを机の中に置き忘れてたんだとか。グットタイミングだよリョーマ君!って、思わず口に出しそうになったけど、頑張って堪えた。……あ、今になって、リョーマ君のことを王子様だなんて言ったこと恥ずかしくなってきた。ま、いっか。

……って、話変わってるよ。
なんてこった…っ!と、一昔前のヒロインが叫んでそうな台詞を呟いたのには、れっきとした理由がある。





「お弁当、持ってくるの忘れた…」



リョーマ君に、"お弁当作ったから今日はごめんなさい!一緒に行けません!宿題やらなきゃ先生の視線が怖いの!"ってメールしちゃったのに。





「…よし!」



時計をチラリと確認した私。家まで猛ダッシュで戻って20分。チャリに乗って登校すれば、10分で学校に戻ってこれる。宿題はもう終わった(意外と簡単だった)。HR開始のチャイムが鳴るまであと30分。




「リョーマ君のためだもんっ!」



気合いを入れて頬っぺたを叩いて、私は教室を飛び出した。(ヒリヒリする頬っぺた、赤くなってるんだろうな)(ちょっとトイレの鏡で頬っぺ確認してからまた駆けだした)


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"面倒"連呼しすぎですね(笑
「面倒」な日常を壊すレギュラー陣に期待してください←

(一応)大人しい設定の彼女にも、ちょっと期待してください←

更新遅くなってすみませんorz


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