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いたずらな王子様



最悪最悪最悪最悪。

今日は最悪な日だ。朝起きてカーテンを開けたら庭に黒猫が2匹もいたし、私の部屋のクーラーが壊れた。
夏休みはこれからだってのに、私の"部屋に引きこもってぐーたら夏休みを過ごそうぜ計画"がだいなしだ。せっかく友達からの遊びの誘いも即答で断ったのに。
掃除機をかけるお母さんにリビングを追い出され、ゆっくりお風呂に入ってたらついでと言われて風呂掃除をやらされた(おかげで筋肉痛になってしまった)。
しかも、暑くて飲み物をいっぱい飲んでたからトイレが近くて、"トイレー"なんて無駄な報告をしてトイレに入ったら、またしてもついでと言われてトイレ掃除。ごしごし便器を掃除したなんて何年ぶりだって感じ。


あぁ、疲れた。

涼しむためにコンビニに行ったら、クラスの友達と会った。彼女は私が極度のめんどくさがりで、"部屋に引きこもってぐーたら夏休みを過ごそうぜ計画"を知っているのだ。あれ、珍しいねーなんて笑いながら話しかけてきた彼女は、自他共に認めるお祭り好き。でもって、今日は夕方からお祭りがある。そんなわけで、私は半強制…強制的にお祭りに参加することになった。しかも、浴衣。しかも、友達の。しかも、勝手に化粧もされて、髪型もすんげーやられて。あれ、私はお人形ですかー?みたいな感じで、友達にされるがまま。


…頑張って振り切ればよかったんだ。そうしたら、こんなことにならなかったのに。




「えち、えちぜ、越前君!ちょっと待ってよ!いや、ちょっとじゃなくて普通にままま、待ってよー!!」



何が悲しくて神社で肝試しなんてしなくちゃいけないんだ!私は肝無しで結構、大いに結構!それなのに強制的に・・畜生!



「ねぇ、何ブツブツ言ってんの?」


「!!こ、怖いの嫌いなの!だから、その、離れないでよっ」



いつの間にか、前を歩いていた越前君は私のすぐ傍に。しかも、肩に手置かれたし。そうそう、言い忘れてましたけど、彼は私の所謂彼氏というやつで。私が例の計画を伝えた時に、"俺、部活ない日凛の家行くから"と言われました。行ってもいい?じゃなくて、行くからと言った越前君。私に拒否権はないようで、実はもう部屋を綺麗に片づけちゃったりなんかして、準備オッケーなわけですよ。



「しょうがないなぁ…これなら、怖くないでしょ?」


「っ……ま、まぁ、ちょっとはマシ、かな?」




ぎゅっと握ってくれた手から、越前君の温もりが伝わってきて。あ、手汗酷かったらどうしようだなんて考えてたら、口許に真っ白な"何か"。




「綿あめ。あんたも食べる?」


「え、あ、う、うん、食べます!!」



甘いものが大好きな私は、ぺろっと差し出された綿あめを舐めた。うん、あまくて美味しい。越前君と間チューしちゃった、と浮かれてると、あることに気付いた。




「あれ………?」




視線を下に向けると、しっかり繋がれた越前君と私の手。綿あめを持っているのは越前君。…………あれ、あ れ?じゃあ、肩に乗ってる手は……………





「え、ちょ、凛?!」




肝無しの私、当然の如く倒れましたとさ。
















「ちょっとやりすぎちゃったか…」


「えへへ!いいのよ、これくらい!私が夏休み遊ぼうって言ったのを嫌だって即答した罰よ!」


「……気絶しちゃったけど、いいの?」


「いーのいーの!越前君、後はよろしくね!ふふふっ…じゃーね!」








私がお目覚め後、あの手は背後に忍んでいた友達で、私が遊ぶのを断った仕返しだったと聞かされた。もちろん、その後の友達からのメールはフルシカトさ!ちくしょー!



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夏と言えば肝試し!
ネタではありがちですね(笑

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あきゅろす。
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