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不思議
ほのぼの
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私、1年2組の桜井凛です。これから、私の隣の席の不思議君のついてお話したいと思います。






まず、お名前。彼の名前は越前リョーマ。生粋の日本人らしいんですけど、名前がカタカナとかいいね。羨ましい。髪は深緑っぽい黒。サラサラなのが悔しい。



彼はたいてい寝ています。ちゃんと先生の話を聞いてるのは科学とか体育とかかな?それくらいしか思いつかないくらい、彼は常に寝ています。けど、いっぱい寝てるのに彼の身長は入学当初から変わっていない気がします。…って、こんなこと本人に言ったら特有のキッとした猫目で睨まれちゃうから絶対に口にしない。テニスのことよく知らないけど、身長なんて関係ないよね。だって、彼はこの身長で部内の先輩と渡り歩いて…ってか走ってるんだから。だって、有名な青学テニス部だよ?十分だよね。



英語の授業態度は最悪。先生が嫌いなのか、帰国子女の彼にとって面倒なだけなのか、それとも両方なのか彼は常に寝ている。最初は先生がしょっちゅう注意してたけど、毎回流暢な英語を話されて、尚且つ内容が理にかなってるから先生は言い返せずに結局放置。テストは100点。まったく、どこまで凄い人なんだ、彼は。







で、冒頭に戻ります。



彼は不思議君です。



だって、常にめんどくさそうな態度なのに、何でもできちゃうなんて。だって、最初から何でもできたわけじゃないでしょ?少なからず勉強したり、何かしら努力をしているはず。なのに、何故彼は学校生活部活除きで無気力系なんだ。堀尾君達と一緒にいるのをみるが、特に彼は話をしない。たいてい聞き役だ。…と言っても、聞いてるかどうかは分からないが。言い方は悪いけど、どっちかって言うと堀尾君達が彼に付き纏ってる感じだ。うん、不思議。彼は堀尾君見たいに自慢したりしないし、十分凄いのに人を見下したりしない。先輩を先輩と思ってないみたいで、この前部活の先輩らしき人をパシリにしていたのを目撃した。



もう一度言う。彼は不思議君だ。



だって、テニスにしか興味がないように見えて、バックの中にはマンガが数冊。帰りのHRになると活動開始みたいだ。挨拶が終わるとさっさと掃除に行ってさっさと部活へ行ってしまう。本当にテニスが好きなんだね。



私は一度、テニス部を見学した。…ってか、友達に無理矢理連れて行かれた。初めて見た彼の部活をやっている姿ははっきり言ってカッコよかった。きゃーきゃー言ってる野次馬さん、所謂ファンの方々の気持ちが分かった瞬間だった。


…だけど、彼はそんな人達を視界に入れず、テニスコートだけを見ている。…もう一度言うけど、彼は本当にテニスが好きだ。テニスが恋人なんじゃないの?って素直に思う。ってか一度彼を目の前にして言ってしまったことがある。そしたら彼は、冗談キツイって言って笑ったんだ。





しつこいけど、言う。彼は不思議君だ。





冗談キツイって言った後、こう言葉を続けた。












「恋人は凛しかいないから」











うん、そーだよね。



これで最後。彼は不思議君だ。

だって、テニスをやってるわけでもない、図書委員でもない、頭もよくない(特に苦手科目は英語)、そんな平凡な私と付き合ってるんだから。




「リョーマはやっぱ不思議君だ」


「俺から見れば、あんたも十分変人だよ?」


「え、私一度も変人なんて言ってないけど」


「だって、いっつも俺のこと見てるし?」


「私がリョーマを見てることを知ってるってことは、リョーマもその分私を見てるってことなんだよ」


「……そっか。俺って変人じゃん。だって、あんたを好きだなんて」


「あ、それ私も思った。何で私はリョーマを好きになったんだろうって」


「ま、考えても仕方ないよ」


「…そーだね」





こうして、不思議な彼と毎日幸せな日々を過ごす私。こんなにうまくいってる世の中が不思議だ。


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