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元康が力を付けてきているということ?
そうであるならば、同盟に持ち込めないだろうか?
幼少の頃、人質になっていたとは言え、面識はあるし、多少遊んだ仲である。

「氏真に動く気はなくて、尚且つ家臣も離れていってるということは、今川は確実に衰退していってる。そして、力を付け始めた松平と武田、北条に潰される」

良く考えなくても、今川は武田と同盟を組んだことで後ろを気にしなくて済んでいた訳だ。武田にしてみれば、氏真と同盟を組んだ訳じゃない。
となれば、武田が今川を潰しにかかるのは必然といえば、必然だ。

「元康と同盟組めないかな?」

「あー、あいつ改名したぞ。今は家康と名乗ってる」

「そうなのか?」

「ああ、今川との決別の意味を込めたんだろ。元康の元を家に変えて、家康だ」

「そっか……そうだよな。ようやく人質生活から解放されるんだもんな。いつまでも義元から一字取った名前は要らないか」

「同盟、組めるといいな?」

「うん」

多分、陽炎も気づいてる。
家康が誰と同盟を組むかによって、俺の運命がどう転がるかが決まる。
これは、俺の予感だ。

「で、俺様の慰めは必要か?」

「………」

陽炎のこういうところは何とかして欲しいと思う。
絶対、分かってて言ってるだろ!?

信長は、ちらりと陽炎を見上げた。

うん。
絶対態とだ。
だって、顔が笑ってる。
陽炎がその気なんだったら、俺だって!
いや、別に陽炎としたい訳じゃないから!
あ、いやでも……陽炎とそういうことをするのは好きだし、甘やかされてると感じるけど。
って、俺は誰に言い訳してんだ!?

「べ、別に……こうして、くっついてるだけで十分だから………」

「そうなのか?」

「………うん」

嘘は言ってない。
こうして抱き締められるだけで安心するし、陽炎の体温が落ち着くのは事実だから。

陽炎の背に手を回して、ぎゅっと抱きつく。
そうすればちゃんと抱き締め返してくれるのだ。
それが信長には嬉しい。

「顔、上げろ」

そう言われて顔を上げれば、陽炎の精悍な顔が近付いてきて、唇を塞がれる。
啄むような口づけを何度か交わすと、舌先で口を開くように促される。

「…ん、ふ………ぅ……」

深くなった口づけに、鼻にかかったような声が出てしまう。

性急な口づけとは違う、ゆったり口内を舐め回されてしまえば、余りの気持ち良さに体が震えてしまう。

信長の震えを感じ取った陽炎は足を絡めた。
足の間に膝を入れ、腰を押し付けるようにされれば、嫌でも陽炎の興奮度合いが分かるわけで。

「んぅ……ん、な……何で、そんな、大きくしてんの?」

嬉しいよ?
俺との口づけで興奮してくれたんだって分かるから。
分かるんだけど……。

「さぁ?信長が可愛いからか?それとも、俺様がただ助米なだけか……。どっちだと思う?」

可愛いって言うのは、聞こえなかった事にしよう。
そう、陽炎が助米だから。
うん、そうしよう。
っていうか、そう言うこと聞くなよ!

信長は顔を真っ赤に染めて俯いてしまう。

「……信長は結構、淡白だよな?」

………淡白?
何が?

恥ずかしさから思考を遮断していた信長は、一瞬陽炎の言ってる意味が分からなかった。

「信長からおねだりされたこと、ないもんな」

その言葉から、要は、性欲のことを言っているのだと理解できた。

「俺が淡白なんじゃなくて………陽炎が性欲強すぎる、んじゃ……ない、のか?」

言っていて、これほど恥ずかしい言葉はないと思う。
もう、顔が上げられない。

「そうか?普通だと思うぞ?」

普通!?
普通って何!?
……あれ?
おねだりって……?
もしかして、陽炎は、俺にそういう行為をねだって欲しいのか?

茹で蛸のような顔を上げて、陽炎へ視線をやる。

至極真面目な顔をしていることから、別にからかわれている訳ではないと思いたい。
というか、おねだり!?
……え!?
そんな恥ずかしいこと、出来るわけないだろ!
でも、陽炎はそれを期待してたり……するのか?

もう、頭の中がぐちゃぐちゃで、完全に混乱状態だ。

「ね、ねだって……欲しいのか?」

俺はーーっ、何言ってんだ!?
恥ずかしいっ!!

「そりゃ、たまにはな。がっつけとは言わないが……」

がっ!?
がっつく!?

「………じ、じゃあ…く、口づけ……したい……」

恥ずかし過ぎて、信長にはこれが精一杯で。
顔を真っ赤に染めながら、上目使いで見上げれば、陽炎は驚いたような顔をした後、すごく嬉しそうに笑って、口づけてくる。

「……良い子だ」

「うぅ………恥ずかしい………」

陽炎は頭を優しく撫でながら、口づけを再開した。

じっくり味わうような口づけは、終わらないんじゃないかと思うほど長くて。

陽炎は当たり前のように、絡めた足を割いてくると、再び腰を押し付けてくる。
流れるような動きで信長の寝間着を剥いでいき、お互いの体を心行くまで貪り合う羽目になったのは言うまでもない。


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