26※
信長は可愛い声でひたすら喘いで、陽炎を断続的に締め付ける。
涙や涎でぐちょぐちょの顔さえ、可愛く見えてしまうのだから、俺様も大概だな。
多分、後ろだけで登り詰めてしまっているだろう信長は、上体を保っているのが困難なのか、完全に陽炎にもたれ掛かるようになっている。
「ひぅっ、あ、ぁぁっ、あぅ……んっ、待って……」
まともに思考が働かなくなっているのか、信長はひたすら泣きながら喘いでいる。
ああ、待てるもんなら、待ってやりたいけど。
信長自信に煽ってるつもりは毛頭ないだろうが、厭らしく歪んだ顔や、嗚咽混じりの喘ぎ声に、どうしようもなく煽られてしまう。
断続的に締め付けてくるのも、いけない。
「あっ、ぁ、ぁうっ……で、るっ……またぁ……ひぅぅっ!……ぁぁっ、んんぅ」
一際強く締め付けられると、信長は背中を弓なりに反らしてビクビクと体を震わせた。
同時に、陽炎も限界を迎えていたため、信長の中に熱い飛沫を迸らせた。
「っく………!」
「ぅあっ……あ、はっ、ぁぁ……」
力尽きた信長はそのまま後ろに倒れ込み、陽炎も追いかけるように覆い被さった。
しばらく荒い息を整えると、快感に朦朧とする信長の顔中に口づけを落としていく。
「……んっ」
強烈な快感に、今だ震える信長をしっかりと抱き締め、互いの汗と熱を分け合い、優しく信長の前髪を鋤いてやる。
「……大丈夫か?」
「ど、どこを……どう見て、大丈夫っ、なんだよ!?」
息も絶え絶えに睨んでくる顔は、全く怖くなくて、それどころか上目使いになってしまっていて、陽炎はそれに煽られる形になってしまう。
繋がったままで、直に陽炎が大きくなるのを感じた信長は、ピクリと体を揺らした。
「な、なんで……大きくしてんだよ?」
「ん?そりゃあ、お前が煽ってくるからだろ」
「煽ってない、っていうか……無理だからな!」
確かに腹の間に感じる信長の中心は、萎えたままだ。
「無理かどうか、試してみねぇとな?」
「試さなくて良いから!もう打ち止めだ……って!?」
信長が喚いている間に、少しだけ腰を揺すってやれば、驚いたように声を裏返した。
「ば、馬鹿野郎っ!?」
口煩いそれを塞いで、歯列をなぞって舌を絡めとり、さらに小刻みに揺すってやる。
「んんっ………ふぅ、ん、ん――――――――!?」
やめろと言わんばかりに、信長は力の入らない腕を精一杯振り回し、陽炎の背中を殴ってくる。
うん。
何気に結構痛てぇな。
信長は華奢に見えて、筋肉はついてるからな。
「ぷはっ………やめろって、言ってるだろ!?」
口づけから解放された信長は、涙目になりながら陽炎に必死の訴えを口にした。そんな可愛い信長の頼みならば、無視することは出来ない。。
「じゃあ、しばらくこの体勢でじっとしとくか」
腰を揺さぶるのもやめて、信長の目を覗き込めば、ほっとしたような顔をした後、何かが引っ掛かったのか、驚きに目を見開いた。
その顔もまた、可愛い。
「……こ、このまま?」
「そ。このまま」
語尾に何やら付きそうな笑顔で答えてやれば。
「………え?」
「ん?」
きょとんとした顔で少し固まった後、物凄い勢いで暴れだした。
「ちょっ……せ、せめて抜けよ!」
「こら、暴れんな!」
手をばたつかせながら、逃げようとする腰を押さえ付け、顔に当たった手を掴んで、腰を突き上げてやる。
「ひっ……!?」
悲鳴のような声をあげ、顔を真っ赤に染めた信長はピタリとその動きを止め、驚愕の表情で陽炎を凝視する。
陽炎にかかってしまえば、信長でさえ、ぷるぷると震える小動物だ。
「じっとしてろ。じゃねえと、滅茶苦茶に犯すぞ?」
もう、信長は涙目どころじゃなく、完全にボロボロと涙を流している。
「うぅぅっ………!馬鹿、馬鹿ぁぁ……」
「泣くなよ。悪かったって、な?」
あやすように頬を撫で、瞼に口づけを落とす。
顎から首筋に沿って、鎖骨に舌を這わせていく。
ゆっくりと、全身を愛撫するように、手や口を駆使して撫で回してやる。
「なにも、しないって……言ったぁ……」
「いや?じっとしとくって言っただけだ。俺様に信長を愛でるなってのは、土台無理な話だ」
先程と違い、穏やかな愛撫だからだろうか、信長は気持ち良さそうに、うっとりとした顔つきになっていた。
陽炎自信も、温かい肉壁に包まれ、動いてもいないのに、今にも達してしまいそうだった。
互いの体温を分け合い、ただじっとしているだけでも心地よくて。
ただ穏やかに時が流れ、動かずとも同時に昇りつめた。
それから暫く、貪り合うように体を重ねた。
その日は、信長が意識を飛ばしたことで、ようやく終わりを迎えた。
次の日も、そのまた次の日も。
信長は、身も心も満たされた日々を送った。
来るべき運命の日は、もうすぐそこに迫っていた。
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